日本経団連タイムス No.3004 (2010年7月8日)

「知的財産推進計画2010」で知財事務局と意見交換

−3つの重点戦略ごとの施策と達成されるべき成果イメージを提示/知的財産委員会企画部会


日本経団連は6月24日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会企画部会(広崎膨太郎部会長)を開催した。  部会では、内閣官房知的財産戦略推進事務局の小川潔参事官ほかから、今年5月に知的財産戦略本部でまとめられた「知的財産推進計画2010」(以下、「2010」)について説明を受けるとともに意見交換を行った。  小川参事官は「2010」の特徴として、政府の成長戦略と連動し、科学技術政策や情報通信技術政策と一体的に推進されるものとして位置付けられている点、次の3つの重点戦略に分けて施策を盛り込んでいる点、各戦略について2020年に達成されるべき成果イメージを提示している点を挙げ、それぞれの施策の概要を説明した。

■ 知的財産推進計画2010(概要)

  1. (1) 国際標準化特定戦略分野における国際標準の獲得を通じた競争力強化
    7つの国際標準化特定戦略分野((1)先端医療(2)水(3)次世代自動車(4)鉄道(5)エネルギーマネジメント(6)コンテンツメディア(7)ロボット)において国際標準の獲得と知財マネジメントを推進するため、標準化ロードマップを含む競争力強化戦略を2010年度中に策定等

  2. (2) コンテンツ強化を核とした成長戦略の推進
    官民共同ファンドの形成等によるコンテンツの海外展開や、ACTA(模倣品海賊版拡散防止条約)の2010年中の妥結ならびに妥結後の国内法整備および加盟国拡大等によるネット上の著作権侵害対策の強化等

  3. (3) 知的財産の産業横断的な強化策
    ベンチャー・中小企業に対する特許関係料金減免制度の拡充や大学等の利便性向上に資するための特許制度の見直し、複数の企業・大学・公的研究機関が共同研究(共創)する場の構築、日米欧韓中を中心としたワークシェアリング(他国の審査結果を自国の特許審査に活用し、審査の迅速化を図る仕組み)の拡大等

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連から、(1)国際標準化における国と民間との役割分担のあり方(2)コンテンツ振興策としての国内の市場活性化の重要性(3)知財政策と他の重要政策間の具体的連携方策――などに関する意見・質問が出された。

これらに対し知財事務局からは、(1)国際標準化は基本的には民間の経営戦略の問題であるが、各国の動きも踏まえれば、今後は官民の役割分担を踏まえつつ、国のより積極的な関与が必要な部分は強化していきたい(2)コンテンツ強化に係る税制・補助金等の支援策は盛り込んでいるところ、今後はその実現に向けて取り組んでいきたい(3)科学技術政策との連携については既に総合科学技術会議と連携して議論を進め、第4期基本計画の中にその結果を盛り込むよう調整しているところ。今後も科学技術政策と競争力強化政策との連携を強く意識して進めたい――などの回答があった。

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今後日本経団連としては、わが国がイノベーション立国となるための知財政策・制度の実現に向けて検討を深めていく予定である。

【産業技術本部】
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