日本経団連タイムス No.3005 (2010年7月15日)

エスピノサ・メキシコ外相との懇談会開催

−COP16に向けて意見を交換/議長国としての考え聞く


発言するエスピノサ外相(右から2人目)

日本経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で、エスピノサ・メキシコ外務大臣との懇談会を開催し、今年11月に開催される国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)の議長としてのCOP16に対する考えを聞くとともに、意見交換を行った。メキシコ側からは、エスピノサ外務大臣、デアルバ気候変動大使らが出席した。日本経団連からは、坂根正弘副会長・環境安全委員長、天坊昭彦共同委員長、相澤善吾地球環境部会長らが出席した。

開会あいさつにおいて坂根副会長から「ポスト京都議定書の国際枠組交渉にわれわれが期待することは、すべての主要排出国が参加する公平で実効ある国際枠組の構築の一点である。特に、世界の排出の20%ずつを占める、米中が入らない枠組みは考えられない」との発言があった。

エスピノサ外務大臣の発言要旨は次のとおり。

エスピノサ外相、民間との対話促進の意向示す

COP16の目標は、その形式のいかんを問わず、地球レベルで気候変動の悪影響を阻止するための、拘束力を持つ合意につながる実質的な合意を採択することである。広範で均整のとれた合意のパッケージを策定することが可能であると考えている。メキシコは、議長国として、全員参加型で透明性を備えた討議環境の整備に努めている。

最悪のシナリオは、成果がないことである。なんらかの合意があれば、それを土台として、物事を前進させることができる。

現在の気候変動交渉は、これまでのような単なる北と南の問題という二極化した議論ではない。大量に排出する国がある一方で、島しょ国のように排出量が小さな国もある。また、アジアやアフリカの国のように、所得の低い国もある。各国の利害は多様であり、前回コペンハーゲン会議では、途上国間でも意見が分かれた。

気候変動問題の解決のためには、テクノロジー(科学技術)がカギを握る。それゆえ、議長国としてメキシコは、民間との対話を促進したいと考えている。COP16の成功のためには、交渉プロセスに対する日本の民間部門の支援が不可欠である。皆さんの協力に期待している。

◇◇◇

懇談では、相澤部会長から、公平性、実効性の観点から、米中を含むすべての主要排出国が参加する枠組みの構築が必要であり、米中が参加するコペンハーゲン合意を土台に新たな枠組みを構築すべきとの発言があった。これに対し、デアルバ気候変動大使から、(1)京都議定書を批准した先進国(2)米国(3)中国、インド等の新興国(4)その他の途上国――という4つのグループに分けて合意を考えることを視野に入れているとの見解が示された。

これに対し、坂根副会長から、先進国たる米国と日本の扱いが異なることはあり得ないので、それは受け入れられないとの意見表明があった。エスピノサ大臣からは、日本の意向はメキシコも理解しており、また国際社会も理解しているとの発言があった。

【環境本部】
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