日本経団連タイムス No.3008 (2010年8月5日)

中東欧へミッションを派遣

−スロヴァキア、ルーマニア、ブルガリア政府・経済界首脳と意見交換


パルヴァノフ・ブルガリア大統領(中央)を訪問した
横山共同委員長(左隣)、小林共同委員長(右隣)
らミッション一行

日本経団連(米倉弘昌会長)は、7月18日から24日にかけて、ヨーロッパ地域委員会の横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長を共同団長とする総勢34名のミッションをスロヴァキア、ルーマニアならびにブルガリアに派遣した。世界最大の単一市場EU向け製品の生産拠点として、またロシア・NIS諸国にアクセス容易な結節点として発展が見込まれる中東欧諸国との関係を強化することは、わが国の経済成長の実現ならびに企業の欧州戦略の構築にあたって重要な課題との認識のもと、各国大統領はじめ政府首脳、経済界と意見交換を行った。

中東欧諸国と関係強化へ

■ 訪問各国との意見交換

スロヴァキアからは、製造業に加えて、今後はIT、通信技術、バイオ、電機・電子、ロボット、応用化学等に関する研究開発など、付加価値の高い分野への投資に対する期待が表明された。7月に同国初の女性首相に就任したラディチョヴァー首相からは、投資額では韓国が日本を上回っているものの、日本企業が韓国企業未進出の同国北部、東部にも進出していることへの謝意が示された。

ルーマニアからは、約300億ユーロの同国向けEU基金の活用に関して、日本企業との協力への期待が表明された。優先分野はエネルギー、運輸インフラ、農業および食品加工、温泉を中心とする観光産業とのことである。同国は投資誘致を通じた経済再建を目指しており、マクロ経済安定化に向けて公務員給与25%削減、付加価値税5%引き上げ等を断行した。バセスク大統領からは、EU域外、特に日本、中国、韓国からの投資を増やしたいとの発言があった。

ブルガリアからは、日本との貿易投資関係が両国のポテンシャルに見合っていないとして、さらなる拡大への期待が表明された。ボリソフ首相は、同国の法人税が10%とEU加盟国内で最低水準であること、平均賃金も周辺諸国と比べて低水準であること等、投資先としてのメリットを強調し、トライコフ経済・エネルギー・観光相は、再生可能エネルギーの利用率向上に向けて、風力発電、太陽光発電等のプロジェクトに関し日本企業との協力への期待を表明した。

■ 日・EU経済統合協定(EIA)に対する訪問各国の立場

日本経団連側から日・EU EIAの早期実現に向けて支持・協力を要請したところ、各国首脳からはこれを支持するとの表明があった。特にスロヴァキアでは非関税障壁の撤廃について関心が示され、ミシュコフ経済相からは4月の日・EU首脳協議において設置が決まった「合同ハイレベルグループ」への期待が表明された。

【国際経済本部】
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