日本経団連タイムス No.3010 (2010年8月26日)

日印フォーラム2010「IFRS導入の課題」開催

−IFRS導入に向けた両国の相互理解進展を


国際会計基準(IFRS)導入にあたっての重要課題の解決に向けた方針・戦略を検討するため日本経団連をはじめとする関係諸機関・団体によって昨年7月に設立された民間の会議体である「IFRS対応会議」の主催、日本経団連ほかの共催により、7月27日、東京・大手町の経団連会館で、日印フォーラム2010「IFRS導入の課題」が開催された。同フォーラムは、IFRS導入を視野に入れる日本、インド両国がお互いの知識・経験を共有すると同時に、両国の関係を強化する目的で行われた。

日印関係強化へ

講演する大塚内閣府副大臣

フォーラムでは、大塚耕平内閣府副大臣が基調講演を行い、日印の経済関係が急速に拡大する見通しとその必要性を示し、IFRS導入に向けた両国の相互理解の進展の重要性を説いた。また、会計の世界において、日印両国がアジア諸国の中で重要な役割を果たすことが、アジア全体、あるいは世界の発展に資する点を強調した。インド側からはバンドホパティヤヘ企業省事務次官が基調講演を行い、歴史的に長い協力関係にある両国がIFRSに関して対話を継続することの重要性、対話を通じて共同で国際会計基準審議会(IASB)に対して意見発信することへの期待を示した。

そのほか、日本からは、東京証券取引所、金融庁、日本公認会計士協会、企業会計基準委員会といった関係者・団体、インドからも規制当局や会計基準設定主体など、IASBからはトウィーディー議長が、それぞれの立場からIFRS導入に向けた課題について講演した。

産業界からは、三菱商事の上田良一副社長が日本のロードマップに沿ったIFRS導入スケジュールと自社の取り組み、業績管理をはじめとするIFRS導入に伴う影響や課題を紹介。さらに、パネルディスカッションにおいて、日本経団連で経済法規委員会の企業会計部会長を務める住友商事の島崎憲明特別顧問がIFRS対応会議の国際対応委員長の立場から、日本におけるIFRS導入に向けた民間の活動やアジア・オセアニアにおける各国の連携の重要性などを説明した。

また、前日の26日には日印両国がIFRS適用時の課題を解決するための共通のプラットフォームとして設立した共同作業グループである「日印ダイアローグ」の第1回会合が同じく経団連会館で開催された。日本経団連のほか、日印両国の規制当局、会計基準設定主体、監査人、証券取引所などからキーパーソンが出席し、IFRS導入に関するお互いの経験や見解が共有され、日印両国の相互の情報連携やIASBに対する共同での意見発信の重要性などが確認された。「日印ダイアローグ」による両国の対話は、今後も継続的に開催することが予定されている。

【経済基盤本部】
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