日本経団連タイムス No.3012 (2010年9月9日)

2011年版経労委報告の骨子案審議

−「成長」をキーワードに/経営労働政策委員会


米倉会長(右)と大橋委員長

日本経団連の経営労働政策委員会(議長=米倉弘昌会長、委員長=大橋洋治副会長)は8月30日、東京・大手町の経団連会館で今年度第1回会合を開催し、2011年版経営労働政策委員会報告(以下、経労委報告)の作成方針(案)ならびに骨子(案)についての審議を行った。

同報告は、毎年の春季労使交渉・協議における経営側のスタンスを中心に、雇用・労働問題に関する日本経団連の基本的な考え方を示すものである。

冒頭、大橋委員長があいさつし、「今年は、『成長』をキーワードに、より前向きな内容を中心とした報告書にできればと考えている」と、今年度の経労委報告の方向性を示した。また、「企業の発展のためには、従業員のやる気や挑戦する心構えが重要になり、そのためには、多様な人材が生き生きと活躍できる職場づくりや、能力開発支援を通じた従業員の成長という点について考え方を整理していくことが大事である」とポイントを挙げた。

続いて、今年から議長に就任した米倉会長があいさつし、「わが国経済はいまだ本格的な自律回復を見せるには至っておらず、民間活力の発揮による経済再生と持続的な成長の実現が強く求められている。また、経済のグローバル化が一段と進展するなか、中国をはじめとする新興国の企業のプレゼンスが急速に高まりつつあり、わが国企業にとって、国際競争力を一層強化することが喫緊の課題となっている」との現状認識を示した。そのうえで、「今こそ、労使が一致協力し、民間活力による経済の復活と再生、そして持続的な成長の実現に向け、全力を尽くしていかなければならない。企業の競争力と付加価値を高める方策を考えていくことが重要」と指摘した。

その後の審議では、まず作成方針(案)について、春季労使交渉・協議に向けた指針という同報告の基本的な役割を踏まえ、企業経営と労使関係・労働諸施策に直接関わる課題・要望にできるだけ絞り込むことなどが了承された。

そのうえで、骨子案について審議し、委員からは、「円高は、産業の空洞化や雇用問題にもつながる深刻な問題である」「労働需要を増加させるためには、経済が活性化し、企業活動が活発になることが重要である」「国際競争力をつけるために、労使が協調し、その方策を議論していく必要がある」「ワーク・ライフ・バランスに関して、仕事と生活のシナジー効果を生み出すために、労使で知恵を出していきたい」などの意見が出された。

今後は11月、12月に会合を開催し、来年1月中旬に2011年版経労委報告を取りまとめて発表する予定。

【労働政策本部】
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