わが国は、深刻な財政赤字に直面しており、また本格的な少子高齢化、人口減少社会が到来するなかで、社会保障制度に綻びが見られ、国民の多くが将来不安を抱いている。また、グローバル競争が一層の激しさを増すなか、わが国経済の持続的な成長と国内での雇用確保に懸念が持たれている。こうした国民の間に漂う将来不安、閉そく感を払拭し、再び経済を成長軌道に乗せ、豊かで明るい国民生活を実現するためには、税制抜本改革を軸に、中長期的な財政健全化の推進、国民が安心できる社会保障制度の確立を一体的に進めていくことが急務となっている。こうした状況を踏まえ、日本経団連は14日、「平成23年度税制改正に関する提言」を公表し、税制抜本改革のあり方、経済活性化等に向け平成23年度税制改正で措置すべき事項を示した。提言の概要は次のとおり。
消費税率の一刻も早い引き上げ、所得税の基幹税としての機能回復、法人税への過度な依存の見直しなどを通じ、社会保障給付をはじめとする中長期的な歳出の増大に対応できるよう、税体系の抜本改革を一体的に実現すべきである。税・社会保障共通の番号制度の整備も急務である。一刻も早く消費税を含む税制抜本改革を断行するため、超党派の議論を速やかに開始し、早期に成案を提示すべきである。