日本経団連タイムス No.3013 (2010年9月16日)

「未来都市モデルプロジェクト中間報告」公表

−先端技術結集の未来都市モデル構築を目指す


日本経団連では、環境・エネルギー、医療、交通などの分野で企業が持つ世界に冠たる技術を都市につぎ込み、実証実験により技術を完成させるとともに、教育や観光などの取り組みも含めた総合的な未来都市の構築を目指す「未来都市モデルプロジェクト」の検討を進めている。13日、その検討結果を中間的に取りまとめた「未来都市モデルプロジェクト中間報告」を公表した。同報告書の概要は次のとおり。

■ 未来都市モデルプロジェクトの目的

同プロジェクトでは、地球環境問題、人口減少・少子高齢化などのわが国が抱える課題の解決に挑む。また、都市の主役である住民のニーズを踏まえた、誰もが住みたいと思う街づくりを目指す。さらに、各社が有する技術やノウハウをパッケージ化し、わが国産業の競争力強化につなげる。このプロジェクトの成果は、国内さらには海外に展開し、成長産業を創出する。

■ 未来都市モデルプロジェクトの枠組み

同プロジェクトの対象地域は、インフラ整備や事業展開のしやすさなどを踏まえ、人口20万〜30万人程度の区域とする。ただし、実証実験の内容や地域の特性なども踏まえて柔軟に対応する。
同プロジェクトに投入する機能としては、(1)低炭素・環境共生(2)先進医療・介護(3)次世代交通・物流システム(4)先端研究開発(5)次世代電子行政・電子社会(6)国際観光拠点(7)先進農業(8)子育て支援・先進教育――などが考えられる(各機能の詳細については、日本経団連ホームページの未来都市モデルプロジェクト中間報告(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/072/index.html)に掲載)。
こうした機能すべてを一つの区域で満たすことは困難なため、対象区域は全国各地から複数選定する。各区域がこれらのなかから複数の機能を選び、統合して実施する。
同プロジェクトは、企業自ら取り組むことができる部分については、政府等の支援を受けず、企業のイニシアティブで行う。ただし、例えば、医療は医療機関、教育は教育機関などの協力がなければ取り組めないので、こうした実際の取り組み機関との連携や協力を行う。また、規制が障害となっていたり、シードマネーが必要な部分などは、総合特区制度や環境未来都市構想など、政府や自治体の支援を活用する。さらに、限られた資源を有効に活用するため、既存の政府や民間、官民連携のプロジェクトとも連携、協力する。

■ 今後の取り組み

今後、プロジェクトの仕様についてさらに深掘りするとともに、全国の自治体との間で対話を重ね、実施区域を選定するなど、プロジェクトの具体化に向けた作業を行う。
なお、今回のプロジェクトは実証実験までとし、実証実験後の事業化、国内外へのビジネス展開については、実証実験の結果を踏まえ、参加企業が個別に判断する。

【産業政策本部】
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