日本経団連タイムス No.3014 (2010年9月30日)

平成23年度住宅関連税制改正・予算等に対する要望を公表

−豊かな住生活の実現と住宅市場の活性化へ向けて提言


日本経団連(米倉弘昌会長)は14日、提言「豊かな住生活の実現と住宅市場の活性化に向けて」を公表した。提言は、平成23年度税制改正および予算編成に対する要望を取りまとめたものである。
概要は次のとおり。

■ 平成23年度住宅税制改正に関する要望

政府の平成22年度税制改正大綱において、(1)新築住宅(2)長期優良住宅(3)省エネ・バリアフリー改修を行った住宅――に係る固定資産税の減額措置について、今後1年間で見直しを検討することとされた。

これらの措置は、良質な住宅の新築、改修を通じて、わが国の住宅ストックの質の底上げを図るうえで中心的な役割を果たしてきた。仮にこれらの措置がなくなれば、住宅市場への影響は計り知れない。同措置については、維持、恒久化すべきである。

また、政府の平成22年度税制改正では、住宅取得資金に充てるため親等から受けた贈与に課される贈与税について、2010年は1500万円、2011年は1000万円を限度として非課税とする特例措置が設けられた。同措置は、世代間の所得移転を通じて住宅市場の活性化を図るうえで大きな役割を果たしている。2011年以降も非課税限度額を1500万円に維持すべきである。

その他、2010年中に期限切れを迎える「住宅に係る登録免許税の軽減措置」「不動産売買契約書等に係る印紙税の軽減措置」についても、住宅の取得、保有に係る負担軽減の観点から、適用期限を延長すべきである。

■ 平成23年度住宅関連予算、その他制度改正に関する要望

厳しい住宅市場の状況を受けて、政府は今年、「住宅エコポイント制度(注1)の創設」「住宅ローン“フラット35S”(注2)の金利引き下げ幅の拡大」を行った。両措置とも住宅販売の現場で好評を博しており、高い政策効果を発揮している。

両措置ともに2010年末で期限切れとなっていたが、9月の政府の経済対策において2011年末まで延長されることになった。低迷する住宅市場を着実に回復軌道に乗せるとともに、質の高い住宅の普及を進めるため、延長措置が着実に実行される必要がある。あわせて、住宅エコポイント制度については、住宅の省エネ性能に応じて段階的なポイント付与を行うなど制度を改めるべきである。

なお、政府は現在、住宅の省エネ基準の見直し、および将来的な義務化を検討している。現行の省エネ基準の達成率は極めて低位にあり、省エネ基準の義務化は中長期にわたる強力な支援措置がなければ困難である。

また現在、住宅の取得時には、土地や家屋に対して不動産取得税、登録免許税、印紙税、消費税など重層的な課税がなされている。このような諸課税の整理、簡素化を図るとともに、今後、消費税の見直しを含む税制抜本改革にあたっては、住宅市場の縮小を招かないよう一定の配慮が求められる。

  1. (注1)環境性能の高いエコ住宅の新築やエコリフォームに対してポイントを付与し、さまざまな商品やサービスと交換できる制度。今年8月末現在、申請数は累計15万件を超えている。
  2. (注2)省エネ性能等に優れた優良住宅向けの長期固定金利住宅ローン。
【産業政策本部】
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