日本経団連タイムス No.3014 (2010年9月30日)

菅改造内閣への要望を建議

−新成長戦略の早期・着実な実行など


日本経団連は17日、「新内閣に望む」を取りまとめ、政府に建議した。全文は次のとおり。

新内閣に望む

わが国経済は、円高・株安の急速な進展、デフレの進行に加え、厳しい雇用情勢が続くなど、深刻な状況に陥っている。特に、企業の想定を上回る急激な円高とその定着は、わが国産業の海外移転を加速し、ひいては国内の雇用機会を喪失させるおそれがある。

新内閣には、こうした状況を打破するため必要なあらゆる政策を、迅速かつ果敢に遂行することが強く求められており、一刻の猶予も許されない。

とりわけ、「新成長戦略」の速やかな実行、税・財政・社会保障の一体改革をはじめとする下記の重要課題に、超党派での協議も含め、全力で取り組んでいただきたい。

  1. 1.円高是正のため、外為市場への介入に加え、デフレ脱却に向けて、政府・日銀一体となった取り組みを引き続き強化する。
  2. 2.国内での投資促進・雇用創造に向けて、「新成長戦略」を早期かつ着実に実施する。
    1. (1)日本の強みを活かす成長(環境・エネルギー大国戦略、健康大国戦略)
    2. (2)フロンティアの開拓による成長(アジア経済戦略、観光立国・地域活性化戦略)
    3. (3)成長を支えるプラットフォーム(科学・技術・情報通信立国戦略、雇用・人材戦略、金融戦略)
  3. 3.自由で円滑な企業活動を促すため、法人の税負担軽減、適切な地球温暖化対策や競争政策の構築など事業環境の国際的なイコールフッティングを確保するとともに、規制・制度改革への取り組みを徹底する。
  4. 4.消費税を含めた税制抜本改革、財政の健全化、社会保障制度の一体的改革を推進し、将来に対する国民の不安感を払拭し、安心・安全な生活を実現する。
  5. 5.日米同盟を基軸にした外交・安全保障体制を強化するとともに、WTOドーハ・ラウンド交渉の妥結、アジア太平洋地域における経済統合の拡充、ソフト・ハードのインフラ整備を通じたアジア成長戦略の推進など通商・投資・国際協力政策を推進する。
◇◇◇

なお同日、米倉弘昌会長名により「政策の継続性に配慮し、改革の実現が期待できる陣容であると思う」とのコメントを発表した。


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