(注)○は全会一致、●は使用者側反対、
△は使用者側一部反対 |
2010年度の地域別最低賃金額の改定審議が9月10日までに終了した。都道府県ごとの地方最低賃金審議会は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が示した目安を参考に、調査審議を行っていたが、すべての答申が出そろった。
今年度は、中央最低賃金審議会の目安小委員会が例年より多く6回開催され、目安答申が例年の7月下旬でなく、8月6日にずれ込んだことから、地方最低賃金審議会での審議日程も例年より遅いスケジュールとなり、長期化した地域が多かった。
今年度の目安は、(1)47都道府県をA〜Dに分けたランク別は、すべて10円(2)最低賃金額が生活保護費を下回っている12の都道府県については「乖離解消の予定残年数で解消する場合の金額」としたうえで(1)と比較して大きい金額とする――という大幅な引き上げ内容で、地方の審議結果が注目されていた。
各地の答申の内訳をみると、目安に比べて、マイナス1円が1件、目安と同額が4件、プラス1円が2件、プラス2円が24件、プラス3円が13件、プラス4円以上が3件となり、目安を上回るところが多かった。
この結果、答申どおりに最低賃金額が決定した場合、地域別最低賃金額は全国加重平均で17円増の730円となる。最も高い最低賃金額は821円(東京)で、以下818円(神奈川)、779円(大阪)の順。最も低い最低賃金額は642円(鳥取・島根・高知・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島・沖縄の8県)となる(図表参照)。
また、最低賃金額が生活保護費を下回っていた12の都道府県のうち、青森、秋田、埼玉、千葉、京都、大阪、兵庫の7府県で乖離解消がなされる。
今年度の結審状況をみると、全会一致が8件、使用者側全員反対が38件、使用者側一部反対が1件となった。今年は使用者側全員反対が昨年度の16件と比べて急増し、最低賃金額を時間額表示に一本化した02年度以降で最多となった。
日本経団連は、今年度の審議にあたり、各地方経営者協会と連絡を密にしながら、審議状況の情報収集に努めるとともに、集約した情報を適宜発信して情報共有を図るなどの支援を行った。
今後は、各都道府県労働局による関係労働者および関係使用者の異議申出に関する手続きを経て改定決定され、11月上旬(例年は10月1日前後)を目途に発効となる見込みである。