日本経団連タイムス No.3015 (2010年10月7日)

タイ経済の構造転換へ日本の投資と技術協力にチャイウット工業相が期待感示す

−日タイ経済関係などで意見交換/日タイ貿易経済委員会


チャイウット工業相(左)とアチャッカー長官

日本経団連は9月17日、東京・大手町の経団連会館でタイ王国のチャイウット・バンナワット工業大臣ならびにアチャッカー・シーブンルアン投資委員会(BOI)長官を招いて日タイ貿易経済委員会を開催し、日タイ経済関係やタイの投資環境について懇談した。

席上、チャイウット大臣は、タイ経済の発展は、日本の貢献があったからこそ成し得たと言って過言ではなく、自身も日本に親しみを感じていると述べ、タイの投資環境整備について日本企業からアドバイスを聞きたいと語った。

また、今後、タイの経済構造の転換を図り、産業部門の競争力を培うため、R&Dを促進し、友好国との貿易・投資関係を強化したいと説明。熟練労働者の育成に力を入れていると述べた。これに関連して、日本の効率性や技術を学ぶための日本企業の技術移転に対する期待を表明した。

さらに、マプタプット工業団地で起こった住民の行政訴訟による事業停止の問題については、8月末に停止措置の対象となる有害なプロジェクトのリストを閣議決定したと説明。これに伴い、これまで停止していた73件のプロジェクトの再開が認められたと述べた。

なお、春先の反政府デモのタイ経済への影響はほとんどなかったとし、政府は、国の結束を強めるため格差是正を推進するとともに、政策的対立を解消するための建設的話し合いを呼びかけていると説明した。

続いて、アチャッカー長官から、環境・省エネ技術ならびに新製品開発に対する投資奨励策が紹介された。同奨励策では、2012年12月末までにBOIに申請すると、関連機械の輸入関税の免除、8年間の法人税免除、電気・水道等公共料金の税額控除等が認められる。長官は、日本企業の積極的申請に対する期待を表明した。

懇談では、経団連側から、タイの投資環境に関連して、(1)ユーティリティーのコスト競争力の向上(2)サービス分野での外資参入規制の緩和(3)外国人労働者の雇用規制の緩和――について要望したところ、チャイウット大臣から前向きな回答を得た。また、発電所建設に対するタイ住民の反対運動についても質問が及び、チャイウット大臣は、「住民の理解を得るためには一定の説明努力が必要である。政府も投資家と一緒に理解を得る努力をしたい」と答えた。

【国際協力本部】
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