日本経団連タイムス No.3015 (2010年10月7日)

ベトナム、カンボジアに実務ミッション派遣

−官民首脳とメコン地域開発で意見交換


開発が進むカイメップ・チーバイ港(ベトナム)
フン・セン・カンボジア首相とミッション一行

日本経団連は9月19日から25日にかけて、福林憲二郎国際協力委員会政策部会長を団長、藤野隆アジア大洋州地域委員会企画部会長を副団長とする総勢28名の実務ミッションをベトナム、カンボジアに派遣した。ミッションでは、東アジアにおける物流の要衝であるメコン地域の開発や日本との経済関係の強化策をめぐり、両国の官民首脳と意見交換を行うとともに、港湾施設や工業団地を視察した。

ベトナムでは、ドン計画投資副大臣、ビエン商工副大臣をはじめとする官民首脳から、高付加価値産業ならびに素材・部品などの裾野産業の育成について、日本企業の一層の協力に強い期待が示された。また、日本の製品・技術に対する高い信頼感が表明される一方で、中国・韓国製品との比較でコスト高との指摘もあった。

また、ホーチミンからプノンペンを経由し、バンコクに至る南部経済回廊の東のゲートウエーとして注目されるカイメップ・チーバイ港を視察した。同港は、円借款や外国資本によって整備が進められ、すでに北米航路の大型船の入港も開始されている。完工すれば、カンボジアを含むメコン地域の物流を大きく効率化することが期待される。

訪問した工場では、賃金水準の上昇、労働力の逼迫傾向、流通網の構築と現地パートナー選定の困難など、ビジネス上の課題・留意点などについて説明を受けた。

カンボジアでは、フン・セン首相、ソック・アン副首相、チャム・プラシット商業大臣、トラム・イウ・テック公共事業大臣らと会見した。

フン・セン首相は、カンボジアはASEANの中心に位置し、5億6000万人の巨大経済圏に効率的にアクセスできる優位性があるが、引き続き投資環境の改善に努力していると強調した。特に、南部経済回廊のインフラが完成することで、物流の迅速化、コスト低減、大規模化が可能であると説明した。また、シアヌークビル経済特区、プノンペン経済特区への日本企業の投資に強い期待を表明した。

プノンペン経済特区では、周辺国で賃金が上昇するなか、カンボジアは、労働集約型産業の移転先として有望な反面、電力が割高で供給も不安定であること、熟練労働者が不足し、インフラも未整備であることなど課題も多いとの指摘があった。

【国際協力本部】
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