日本経団連の社会貢献推進委員会(古賀信行共同委員長、佐藤正敏共同委員長)と1%クラブ(佐藤正敏会長)は19日、2009年度における社会貢献活動実績調査を公表した。日本経団連では1991年から、毎年前年度の社会貢献活動への各社の取り組み状況に関する調査を実施している。
2009年度の活動実績調査からは、08年秋以降の国際金融経済危機の影響下でも、各社が中長期的な視点から社会貢献を企業活動に欠くことのできない重要な活動の一つととらえ、活動の維持に努めている状況が見て取れた。調査結果の概要は次のとおり。
2009年度における社会貢献活動に関する支出額は、回答のあった348社の合計が1533億円、1社当たり平均で4億4100万円となった(図表参照)。1社当たり平均支出額は08年度に比べ5.2%減となったものの、4年連続で4億円の大台を維持している。08年秋以降の国際的な金融経済危機が翌年度の社会貢献活動に影響すると予想されたなか、厳しいながらも各社とも社会貢献活動への取り組みを継続した様子が表れた。
分野別の支出をみると、教育・社会教育分野への支出が3年連続で最多となった。以下、占める割合の高い順に、「学術・研究」、「健康・医学、スポーツ」、「環境」が続く。
4億4100万円の支出内訳を要素別にみると、金銭寄付を含む「各種寄付」が2億9700万円となっており、全体の67%を占めた。また、企業が自ら企画したりNPOと協働・連携したりして実践する「自主プログラム」の支出額は1億2300万円で、全体の28%となった。
各種寄付 | 自主プログラム | 災害被災地支援 | 未分類(総額との差) | 社会貢献活動支出額 | |
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支出額 | 1033億円 | 428億円 | 35億円 | 37億円 | 1533億円 |
1社平均 | 2億9700万円 | 1億2300万円 | 1006万円 | 1100万円 | 4億4100万円 |
社会貢献活動推進のための各社の制度整備状況については、「社会貢献に関する基本的な方針の明文化」「社会貢献担当役員の任命」「専門部署または社会貢献担当者の設置」の各制度を導入している企業が約60%に上った。社会貢献の実施にあたって「予算制度の導入」を行っている企業も過半数の52%に上り、安定的に社会貢献活動を実施する体制が整っている。
独立した社会貢献担当部署の平均スタッフ人数は5.3人となった。一方、事業所、支店、支社等の担当者数は平均で43.9人であり、それぞれの支店支社においても社会貢献活動に関して担当窓口が存在しており、ネットワークを形成している。
同調査結果は日本経団連ホームページで公開されている。また、同時に調査した各社の具体的な社会貢献活動の内容についても、後日掲載される予定。