日本経団連タイムス No.3018 (2010年10月28日)

シン・インド首相歓迎昼食会開催

−シン首相、日本企業にインフラ整備への積極的参画を求める


あいさつする米倉会長とシン首相

日本経団連、日本商工会議所(岡村正会頭)、日印経済委員会(大橋信夫会長)の3団体は25日、東京・大手町の経団連会館で、マンモハン・シンインド首相歓迎昼食会を開催した。昼食会では、米倉弘昌日本経団連会長の歓迎あいさつに続き、シン首相が要旨次のとおりあいさつした。

■ インド政治・経済の現状

今年度のインド経済は8.5%成長となる見込みであり、来年度は9%の成長を目指している。インド経済のファンダメンタルズは堅調であり、今後数十年間に渡り、二ケタの経済成長を達成できる。
そのためにもまず、インフラ整備を加速する必要があり、産業インフラ整備、人的資本への投資、農村・地方の経済・社会開発に力を入れていく。また、引き続き経済構造改革を推進していく。その一環として外資・投資に優しい環境を整備するとともに税制を簡素化し、製品とサービスの税制を一本化する。また金融、資本市場を抜本的に改革し、専門人材の育成も進めていく。

■ 日印経済関係の展望

日印両国は自由主義、民主主義の共通の価値観を有する重要なパートナーである。インド政府、インド国民は、日本からのODA供与に感謝している。デリー、コルカタ、バンガロール、チェンナイ等での地下鉄工事や、デリー・ムンバイ高速輸送鉄道網建設では、日本のODAの支援を受けている。
日印間の貿易・投資関係は拡大基調にあるが、発展の潜在力に比べて、まだ低いレベルにある。こうしたなかで、4年前に開始した日印包括EPA交渉は、先般大筋合意に至った。日印EPAの発効により、両国間のビジネス関係がより円滑化されることを心より願っている。インドのITサービス業や製薬会社にも新たなビジネス・チャンスが広がるものと期待している。
また、インド政府は、日本企業による新規投資や技術支援・技術移転に期待を寄せている。ここ4年間に、インドに進出した日系企業が倍以上に増加したことは、大変喜ばしい。

■ インフラ整備での協力

2012〜17年度の新経済5カ年計画では、インフラ整備に1兆ドルを投じる予定である。特にデリー・ムンバイ産業回廊プロジェクトは、1480キロにまたがる大型インフラ事業である。日本企業には、同プロジェクトも含め、インドのインフラ整備に積極的に参画してほしい。
また、インドは、環境・エネルギー分野についても、日本からの協力を必要としており、環境に優しく効率的なエネルギー供給が可能となる原子力発電所建設での協力に期待している。

【国際協力本部】
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