日本経団連タイムス No.3019 (2010年11月4日)

第3回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム開催

−共同報告書を日印両国首相に手交


共同報告書に署名する米倉会長(左)とアンバニ氏

日本経団連は、インドのマンモハン・シン首相の来日に合わせて10月25日、東京・大手町の経団連会館で、第3回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム(BLF)を開催した。BLFは2006年の日印首脳会談の合意に基づき、両首脳の相互訪問時に両国政府の要請を受けて設置されたものであり、今回は日本側から米倉弘昌会長、渡文明評議員会議長、大橋信夫日印経済委員会会長と6名の経団連副会長、インド側からアンバニ・リライアンス・インダストリー会長兼社長ら8名が出席した。

■ 共同議長あいさつ

日本側共同議長である米倉会長は冒頭あいさつで、「日本・インド包括的経済連携協定(CEPA)の大筋合意を歓迎する。これにより、経済成長の著しいインドとの貿易・投資の一層の自由化が進み、双方のビジネスチャンスの拡大と両国の戦略的パートナーシップの強化につながる」との期待も示した。また、今後の日印経済関係の展望、インフラ整備および戦略的分野における協力推進、アジア・太平洋地域での日印協力について議論を深めたいと述べた。

一方で、インド側のアンバニ共同議長は、「CEPAにより日印経済関係はより高い次元の戦略的連携へと向かう。インドは、今後10年間は高度成長を続け、インフラへの需要も1兆ドルを超えることから、日印の経済界にとり大きなビジネスチャンスとなる」とあいさつした。

■ 意見交換

まず、前回08年10月のBLFで提起した課題について、両国政府を代表し徳永久志外務大臣政務官、クマール商工省産業政策振興部局長がその後の進捗状況を説明、これを踏まえて、日印経済関係の課題についてBLFメンバー間で意見交換を行った。

日本側から、日印経済関係の展望と課題に関し、CEPAの実質合意を歓迎するとともに、その早期発効、金融等のサービス分野の外資規制の緩和などビジネス環境整備の推進への期待が示された。また、インド側からは、CEPAによる繊維、食品の関税の引き下げや非関税障壁の撤廃に期待が示された。さらに、日本の技術へのアクセスの改善、資格の相互承認による専門職の交流の拡大、ジェネリック薬品の市場拡大、再生可能エネルギーやナノテクでの研究開発協力等に関し要望があった。

インフラ整備および戦略的分野における日印協力の推進については、日本側から、PPP(官民連携)推進のための投資環境整備を含むインフラ整備に関する日印官民政策対話の場の設置、インフラ・ファンド設置の必要性、原子力発電所の建設やレアアースの共同開発での協力を求めた。これに対しインド側からは、スマート・コミュニティーのような持続可能なインフラ整備、インフラ整備への日本の民間資金の役割に期待が示された。

最後に、アジア・太平洋における地域統合の推進や省エネルギー分野での日印協力の推進について、意見の一致をみた。

■ 共同報告の両首脳への提出

今回の議論を踏まえ共同報告書を取りまとめ、同日、日印共同議長からシン首相、菅首相に提出し、その実現を要請した。

【国際協力本部】
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