日本経団連タイムス No.3020 (2010年11月11日)

ASEAN政策対話ミッション派遣

−ベトナムで官民首脳と意見交換


左から西田副会長、槍田副会長、
ズン・ベトナム首相、川村副会長

日本経団連は東アジア・サミットの開催にあわせて、10月27日から30日にかけて、ベトナム・ハノイにASEAN政策対話ミッションを派遣した。ミッションには、槍田松瑩副会長を団長に西田厚聰副会長、川村隆副会長が参加し、ズン首相、ホアン商工大臣、フック計画投資大臣、ヴィエット越日友好議連会長、サン共産党政治局員、ロック商工会議所会頭らと会談した。ホアン、フック両大臣とは、大畠章宏経済産業大臣とともに会談した。

アジア重視の姿勢を示す

経団連は、アジアの経済成長に貢献し、ともに成長するため、地域経済統合の推進ならびにインフラの整備について具体的な政策提言を行っている。特に、海外インフラ整備を、必要に応じて他国企業とも連携するジャパン・イニシアティブ、ならびに官民連携の体制で推進するため、日本およびASEAN各国政府にそれぞれアクションを求める提言を10月に公表している(10月28日号既報)。

ミッションは、その一環として、ASEANの今年の議長国であり、コネクティビティーの強化を進めるメコン地域の要であるベトナムを訪問することになったものであり、日本が官民一体でインフラ整備に貢献していくという姿勢をベトナム側に明確に示した。

また、インフラ整備には莫大な資金を要することから、官民が連携するPPPの活用を円滑に進めるため、ベトナム側には、一貫した政策運営や法制度整備、環境政策の推進、二国間オフセットメカニズムの整備、標準化の推進などを要望した。

個別プロジェクトでは、原子力協力の推進について官民連携でトップセールスを行った。ベトナム側からは日本の原子力技術の安全性・信頼性に対する高い評価が表明された。これについては、その後の日越首脳会談において、ニントゥアン省の原発計画第2サイトの建設パートナーに日本が選定された。レアアースについても、日本側から、鉱山の共同開発への道筋を確立したいとの考えを伝え、ベトナム側から、長期的・互恵的な関係を構築したいとの前向きな発言を得た。

こうした広域インフラ開発や産業政策などに関し、今後より具体的に協議を進めるため、今回、閣僚級の官民政策対話の設置を、大畠大臣とともに提案し、両国間で合意した。

また、ベトナムのビジネス環境整備については、日越共同イニシアティブが着実に成果を上げていることから、来月の第3フェーズ終了後の継続を要望し、ベトナム側と合意した。

ベトナムでは、来年1月の党大会で、国家の指導者刷新が予定されている。そこで、次期指導者の有力候補とされるヴィエット越日友好議連会長ならびにサン党政治局員に対し、日越経済協力の重要性について説明した。

ミッションは、所期の目的を達成するとともに、踏み込んだ政策対話を通じて、経団連のアジア重視の姿勢を改めて示すものとなった。

【国際協力本部】
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