日本経団連タイムス No.3020 (2010年11月11日)

IFRS財団のガバナンス改革

−河野・金融庁総括審議官に説明を聞く/経済法規委員会企業会計部会


昨年6月に金融庁から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」では、2012年を目途に、上場会社の連結財務諸表へのIFRS(国際財務報告基準)の適用の是非を判断することとされている。会計基準開発にかかる適切なガバナンスの確保は、より高品質な会計基準の開発にとって、重要な要素の1つである。そこで、10月26日、経団連会館で経済法規委員会企業会計部会(島崎憲明部会長)を開催し、金融庁の河野正道総括審議官(国際担当)を招いて、「IFRS財団(IFRSF、旧称IASCF)のガバナンスの改革」の現状について説明を聞くとともに、経済界との意見交換を行った。

河野総括審議官からは、IFRSの動向への国内における対応とともに、海外におけるIFRS財団と国際会計基準審議会(IASB)との関わり方、プロセスのあり方などが問い直されている現状について紹介があった。

10月12日に、IFRSを開発するIASBの議長が来年6月よりフーガーホーストIOSCO(証券監督者国際機構)専門委員会議長に、また、副議長にはマッキントッシュASB(英国会計基準審議会)議長が就任することとされた。IASBの議長以下の委員の選任は、IFRS財団のトラスティー会合にて全会一致で決定される。現在、IASBは15名の委員(うち、日本から1名)、IFRS財団のトラスティーは21名(うち、日本から2名)で構成されている。IFRS財団に関しては、その監視機関としてモニタリング・ボードが設置されている。

モニタリング・ボードのメンバーは、三國谷金融庁長官、シャピロSEC(米国証券取引委員会)委員長、バルニエEC(欧州委員会)委員、フーガーホーストIOSCO専門委員会議長、アンワーIOSCO新興市場委員会副議長である。なお、10月28日のモニタリング・ボードについては、フーガーホーストIOSCO専門委員会議長の辞任を受け、副議長の河野総括審議官が、暫定的に議長を務めた。

モニタリング・ボードでは、2010年7月に「IFRS財団のガバナンスの見直しのためのワーキング・グループ」が設立され、河野総括審議官が、同ワーキング・グループの議長を務めている。同ワーキング・グループでは、IFRS財団の全体的なガバナンス構造に焦点を置き、資本市場規制当局などの関係当局との関係、IASBの透明性や説明責任の十分な提供、会計基準の設定過程におけるIASBの独立性の確保などの幅広い検討が、実施されているところである。

【経済基盤本部】
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