日本経団連タイムス No.3022 (2010年11月25日)

ABAC第4回横浜会議開く

−APEC首脳との対話も実施


発言する渡辺ABAC日本支援協議会会長
(前列左)と相原ABAC議長(同右)

APEC首脳に対しビジネスの観点から提言・助言を行う公式民間諮問機関、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の今年の最終会合が、7日から10日まで横浜市内のホテルで開催された。会議には、APEC参加21カ国・地域のABAC委員、スタッフら260人が参加した。

今回の会議では、APEC首脳会議にあわせて13日に開催されるAPEC首脳とABAC委員の対話での議論内容や、米国が議長となる2011年のABACの取り組み方針などについて検討が行われた。

8日に行われた全体会議には、ABAC日本支援協議会会長を務める渡辺捷昭日本経団連副会長が出席、ABAC会議に続いてリーダーズウィーク中に開催されるAPEC CEOサミット、APEC中小企業(SME)サミットについて説明を行った。

また、9日には、ABAC日本支援協議会を支える、日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、関西経済連合会の経済4団体主催によるABACガラディナーが開催された。ディナーにはABAC委員のほか、民間、政府からの招待者ら計250人が出席。米倉弘昌会長が、主催者を代表して歓迎のあいさつを述べた。

会議では、ビジネスが成長し続けるためにはより深い市場統合に向けた新たなAPECのビジョンが必要であることや、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)がこれを達成するためのもっとも実際的な方法であり、実現に向けて英断を下すよう首脳に対して要請し続けることの重要性を強調。また、経済政策に関しては、G20の取り組みへの支持を確認した。

5グループに分かれて議論

APEC首脳と対話するABAC各国委員

APEC首脳とABACの対話は、13日の夕刻、1時間15分にわたり、APEC首脳会議の会場であるパシフィコ横浜で開催され、21カ国・地域の首脳とABAC委員が5つのグループに分かれて議論を行った。

対話では、複数のABAC委員から菅総理に対し、TPP(環太平洋経済連携協定)に関する日本政府の方針について質問があった。これに対して菅総理は、今月9日に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定したことを説明。TPPはFTAAPの道筋のひとつとして情報収集を進める必要があり、すでに交渉への参加を表明している9カ国との協議を開始したいとの意向を表明した。同時に、交渉に進展がみられない国とのEPA/FTAを加速したい、EUや韓国等とのEPA/FTAも進めていきたいとのコメントがあった。

この対話をもって、2010年ABAC日本議長年は終了した。2011年は米国が議長となり、「Employing People & Ideas for Sustained Growth & Prosperity」(持続的な成長と繁栄に向けた人と知恵の活用)をテーマに政策提言活動を推進する。

【ABAC日本支援協議会】
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