日本経団連タイムス No.3023 (2010年12月2日)

「地域主権と道州制を推進する国民会議」のシンポジウムを高松で開催

−道州制実現への取り組みなど/約270名参加し活発に議論


約270名が参加した道州制シンポジウム

日本経団連(米倉弘昌会長)、日本商工会議所(岡村正会頭)、経済同友会(桜井正光代表幹事)の経済3団体で構成する「地域主権と道州制を推進する国民会議」(以下、国民会議)は11月17日、高松市で、四国経済連合会(常盤百樹会長)との共催により道州制シンポジウムを開催した。国民会議は、地域主権と道州制導入に向けた国民的な気運を高めるため、2009年12月からシンポジウムを開催しており、今回が3回目。当日は、経団連および四国経済連合会の会員や、経済広報センターの社会広聴会員、地方自治体関係者、一般参加者など約270名が参加し、活発な討議が行われた。

講演やパネル討論など展開

■ 開会・来賓あいさつ

開会にあたって、常盤四国経済連合会会長から、「人口減少や高齢化が進み、グローバル競争が厳しくなるなか、東京一極集中が続くばかりでは、地方の疲弊は避けられない。四国が一つとなった広域行政を強力に推進しながら、官民が一致団結して活性化に取り組んでいくことが不可欠であり、今こそ道州制に向けて真剣に議論すべき」とのあいさつがあった。

続いて来賓あいさつに立った浜田恵造香川県知事からは、「全国知事会の提言にもあるとおり、地域主権型道州制を推進すべき。そのためには今後、税財政をはじめとした課題についても議論を進めるべきである。政府では、地域の自主的判断を尊重しながら道州制の導入を射程に入れていくとしているが、四国でも各界で幅広い議論をしていくことが重要である」との指摘があった。

■ 基調講演・パネルディスカッション

シンポジウムでは、まず、林宜嗣関西学院大学経済学部教授から「道州制と地域経済再生-地方が元気になる道州制とは」と題する基調講演があり、世界の大都市のなかでも東京だけが人口の一極集中化が高まっているとの問題意識のもと、地域の活性化につながる道州制のあり方について具体的なデータに基づく提案があった。

続いて行われたパネルディスカッションには、小川淳也衆議院議員(前総務大臣政務官)、大西秀人高松市長、池田弘一日本経団連評議員会副議長・道州制推進委員会共同委員長、山下直家四国経済連合会副会長・地方分権特別委員会委員長がパネリストとして参加。道州制の意義や目的、目指すべき道州制の姿、道州制実現に向けた取り組みなどについて、林教授のコーディネートにより議論を行った。

総務大臣政務官として地域主権改革を担当した小川議員は、「現在の制度は大阪万博の時の右肩上がりの経済成長を前提として成り立っており、今後はこうした制度を低成長の時代に沿った姿に変える必要がある。道州制によって各地域が富の創出を競い合い、住民サービスの最前線に立つ市町村が医療や教育、福祉等のきめ細かい対面サービスに対応していくことが必要である」との見方を示した。

一方、大西市長は、総務省や地方自治体で自治行政に携わった経験も踏まえつつ、まずは基礎自治体の基盤強化を進めながら、広域行政のあり方を検討していくべきとコメント。また、高松市として人口減少や高齢化に対応するために進めている定住自立圏や地域コミュニティー協議会などの取り組みを紹介した。

池田副議長は、経団連の考える道州制について説明したうえで、「日本の地域は一国として独立できる規模があり、それぞれに特徴がある。特に四国の場合は、LED、炭素繊維、電子部品材料など先進的な製造基盤を持っている。こうした特徴を伸ばしていくためにも道州制の導入が必要である」として、四国での道州制の必要性を唱えた。

四国経済界を代表して山下副会長からは、「区割りについては四国4県が一つの州となることが最適と考えており、アンケートでも7割がこれを支持している。四国は諸外国との比較でも、シンガポール一国と同じ人口、GDPを誇っており、一つの道州として世界に十分存在感を示すことができる」としたうえで、「地震大国である日本は、万が一の災害に備え東京への一極集中を改め、道州制によって多極分散型を実現する必要がある」と述べた。

【産業政策本部】
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