日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

「サンライズ・レポート」公表

−民主導の具体的プロジェクトの推進による自立型成長モデル描く


日本経団連(米倉弘昌会長)は6日、民間の主体的な取り組みにより経済成長の実現を目指す「サンライズ・レポート」を公表した。ポイントは次のとおり。

■ 日昇る国の実現に向けて

イノベーションの創出によって産業競争力を強化し、人口減少社会にあっても国民が安心・安全で豊かな生活を享受できる国としていくことが、今の日本に必要な目標である。

■ 「課題解決型イノベーションモデル」の構築

目標を達成する手段は「課題解決型イノベーションモデル」の構築である。エネルギーや資源制約、少子高齢化等、日本が直面する多くの課題を解決し、経済成長を目指すべきである。また、そのモデルを世界に展開すれば、国際社会に貢献することもできる。

■ 経団連としての取り組み

経団連としては、高度な技術と優れた人材を活かし、(1)未来都市(2)資源確保(3)人材の育成・活用――の3つを軸に、22の具体的プロジェクトを推進する。プロジェクトの推進にあたっては、「総合特区制度」の創設など、政府による環境整備が不可欠である。

<未来都市モデルプロジェクト>

日本が今後、持続的に力強い成長を遂げるため、経済界として民主導による自立型の成長モデルを描き、実践していく必要がある。そこで経団連では、環境・エネルギー、ICT、医療、交通などの分野で日本企業が有する最先端の優れた技術を都市に結集して実証実験を行い、革新的な製品、技術、システムを開発するとともに、教育・子育て支援、観光振興などの取り組みも含めて安心で安全な生活の実現を目指す「未来都市モデルプロジェクト」を実施することにした。

同プロジェクトを通じて、日本が抱える社会的課題の解決、誰もが住みたいと思う都市空間の創造、産業競争力の強化、さらには国内・海外への展開を通じた日本の成長を目指す。

具体的には、人口20万から30万人程度の区域を中心に、全国の複数の地域で、(1)低炭素・環境共生(2)先進医療・介護(3)次世代交通・物流システム(4)先端研究開発(5)次世代電子行政・電子社会(6)国際観光拠点(7)先進農業(8)子育て支援・先進教育――の8分野から複数のメニューを組み合わせて取り組む。

現在、(1)公民学連携による国際学術都市・次世代環境都市(2)家庭・コミュニティー型低炭素都市、予防早期医療創成都市(3)先進農業・教育推進都市(4)環境未来都市・環境国際戦略総合特区――をはじめ、13のプロジェクトについて検討を進めている。自治体、関係機関、企業間の連携を取りつつ、実施内容、場所、必要な施策などを詰め、最終的には2010年度内を目途に取りまとめを行う予定である。

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経団連は、これらのプロジェクトを自ら推進することを通じ、「政策提言集団」にとどまることなく、「行動する経済団体」として今後とも積極的な活動を展開していく。

【経済政策本部、産業政策本部】
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