日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

観光立国シンポジウムを開催

−新たな観光コンテンツ創出目的に


約400名が参加した観光シンポジウム

日本経団連と日本商工会議所(岡村正会頭)は11月29日、東京・大手町の経団連会館で「観光立国シンポジウム〜わが国観光のフロンティアを切り拓く」を開催した。シンポジウムは、日本国内外の観光需要を発掘するための、新たな観光コンテンツの創出を目的としたもの。当日は、企業、政府、自治体、学界など幅広い分野から関係者約400名が参加した。

■ 開会・来賓あいさつ

開会にあたり、大塚陸毅観光委員会共同委員長が、「日本経済の持続的成長には観光振興が不可欠。シンポジウムを通じて、業種間を越えた連携が深まることを期待する」とあいさつ。また、来賓としてあいさつした竹歳誠・国土交通事務次官は、「政府を挙げて観光立国の実現を目指す。海外プロモーションや国際会議の誘致、魅力ある観光地づくりなど、これまで以上に積極的に取り組んでいく」と述べた。

■ 事例報告・パネルディスカッション

シンポジウムではまず、日本各地の観光振興に関する先進的な取り組みが紹介された。

長野県飯田市の牧野光朗市長は、飯田市が推進するグリーンツーリズムやワーキングホリデーについて紹介した。アートディレクターの北川フラム氏は、自身がプロデュースした越後妻有大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭について説明。東京電力の影山嘉宏執行役員環境部長は、尾瀬と当間における東京電力自然学校の取り組みについて語った。また、トヨタテクノミュージアム産業技術記念館の布施直人館長は、産業技術記念館における産業観光への取り組みを紹介した。

続いて行われたパネルディスカッションには、牧野市長、北川氏、布施館長に加え、東京電力環境部自然環境グループマネジャーの大曽根健久氏、観光カリスマの山田桂一郎氏が登壇。鎌倉千秋NHKアナウンサーがモデレーターを務め、地域における観光振興の現状・課題や、観光立国実現に向けた取り組みについて活発な議論を行った。

パネリストからは、「自立的かつ持続可能な観光振興となるような長期ビジョンを描くべき」「地域に愛着を持ち、地域全体を考えられる観光人材の育成が必要」「企業、自治体の垣根を取り払い、近隣の観光資源を結び付けてルート化する広域観光が重要」といった意見が出された。

最後に、山口範雄観光委員会共同委員長が、「企業、自治体、住民など関係主体が連携して、日本に眠る観光資源を発掘し、発信していかねばならない」と締めくくりのあいさつをした。

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全国の“ゆるキャラ”も関心を集めた

シンポジウム会場には、企業・自治体等の有志により、各地の観光情報を紹介するブースが設置されるとともに、各地の“ゆるキャラ”やデジタルサイネージ(電子看板)が展示され、参加者の関心を集めた。


【産業政策本部】
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