日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

「高齢者医療制度の再構築と被用者保険の維持・発展に向けた緊急集会」を開催

−4団体共同のアピール採択


意見表明する浅野部会長

日本経団連は6日、日本労働組合総連合会(連合)・全国健康保険協会(協会けんぽ)・健康保険組合連合会(健保連)とともに都内で「高齢者医療制度の再構築と被用者保険の維持・発展に向けた緊急集会」を開催、健保・労使の関係者ら約350名が参加した。

政府は、後期高齢者医療制度廃止後の新たな高齢者医療の構築に向け、「高齢者医療制度改革会議」における検討を進めており、年内に改革案を取りまとめる予定である。これまで、被用者保険に関係する4団体は、高齢者医療への公費負担の拡充を求めてきたが、改革案では、現役世代の保険料の負担増で給付を賄う方向にあるため、要望実現に向け今般、緊急集会を開催したもの。

開会あいさつで古賀伸明連合会長は、現役世代の保険料負担が限界を超えている状況を指摘したうえで、医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、公費負担の拡充の必要性を訴えた。あわせて、地域保険と被用者保険が共存する体系を維持し発展させることが重要であると主張した。続いて、宮武剛・目白大学大学院教授・高齢者医療制度改革会議委員から、高齢者医療制度改革会議の検討状況が報告された後、4団体の代表から意見表明が行われた。

まず経団連の浅野友靖社会保障委員会企画部会長が「現役世代の保険料に過度に依存すると雇用に悪影響を及ぼす。社会保障制度と税の一体改革が不可欠」と訴えた。協会けんぽの小林剛理事長は、「協会けんぽの保険財政は非常に厳しく、保険料率の引き上げが不可避な状況。持続可能性を担保するためには、政府の改革案の見直しが必要」と述べた。さらに、連合の小島茂総合政策局長から、「今回の改革案には疑問があり、さらなる公費投入の拡充が必要」との指摘の後、健保連の白川修二理事から、「政府には、まずグランドデザインを示し、安定財源を確保したうえで、制度改正するという正しいプロセスを踏んでほしい」との主張があった。

最後に、政府に対し高齢者医療制度に対する公費負担の拡充を引き続き求めるアピールが採択され、4団体として政府に働きかけていく方針を確認した。

【経済政策本部】
Copyright © Nippon Keidanren