日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

中南米地域駐在大使と懇談

−各国の最新状況の報告を受け意見交換


日本経団連は11月24日、東京・大手町の経団連会館で中南米地域に駐在している大使との懇談会を開催した。懇談会には中南米地域の21カ国の大使、経団連から米倉弘昌会長、槍田松瑩副会長・日本ブラジル経済委員長、小枝至日本メキシコ経済委員長、小島順彦日本ベネズエラ経済委員長・日本コロンビア経済委員長らが出席した。

冒頭、米倉会長が、「わが国経済界の中南米地域への関心は格段に高まっており、EPAの締結も進展しつつある。パッケージ型インフラの海外展開について、前原外務大臣より提案のあった、官民連携の枠組みのなかで取り組んでいきたい」とあいさつした。続いて、槍田副会長は、「わが国としては、中南米地域の成長を確実なものとするために、基幹インフラの整備や資源・エネルギーの共同開発に貢献し、これにより共に成長し、資源を確保していくことが必要である」と述べた。

これに対して、外務省の水上正史中南米局長から、「前原大臣の掲げる経済外交の三本柱は、EPA/FTA推進、新エネルギー・食糧の安定供給の確保、インフラの海外展開の3つである。その一環として、日系企業から求められている、中南米地域におけるプロジェクトの支援やEPA、租税条約の締結促進を、官民連携で対応していきたい」と説明があった。

■ 各国大使説明

三輪昭・駐ブラジル大使は、「10月の大統領選挙で、ルーラ現政権の8割の支持を背景に、後継者のルセーフ文官長が次期大統領に決定した。政策に大きな変更はないと考える。また、今年の同国の経済成長率は7.5%と見込まれており、今後も深海油田の生産拡大、2014年のサッカーワールドカップ、16年のオリンピックと好材料がそろっている。経済成長のため野心的なインフラ整備計画が用意されている」と説明した。さらに「鉄道、原子力発電などでの協力で対日期待は高い一方、具体的結果を得ることは容易ではない」と述べた。

小野正昭・駐メキシコ大使は、「メキシコ経済は対米輸出に牽引され、自動車を中心として製造業に明るさがみられ、輸出は08年水準に戻りつつある。二国間EPAの影響で、日系企業が昨年から今年にかけて30社ほど増えている。経済政策は健全財政を維持しており、大統領主導による規制改革、行政手続きの簡素化が進んでいる。治安は悪化しているが、大統領が組織犯罪撲滅を進めており、大使館も日本企業と連携し邦人の安全に努力している」と述べた。また、日墨EPAの再協議は現在大詰めを迎えており、農産品問題を含め来年には新協定の展望が開けるとの見方を示した。

林渉・駐チリ大使は、2月のチリ地震の際の企業からの支援に謝意を示すとともに、ピニェーラ大統領が11月にAPECで訪日した際に、日本の投資拡大を期待するとの発言があったことを紹介した。また、投資活動の支援のため、租税条約の締結が重要であると述べた。

鈴木一泉・駐コロンビア大使は、「8月に就任したサントス大統領が、ウリベ前政権の路線を継承し、経済開放政策と海外投融資を推進している」と述べた。また、投資協定交渉が再開したことを紹介した。

目賀田周一郎・駐ペルー大使は、11月のAPEC首脳会議で、双方が満足できる内容でEPA交渉を完了したと述べ、来年半ばまでに発効となるとの見通しを語った。

【国際協力本部】
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