日本経団連タイムス No.3024 (2010年12月14日)

循環型社会構築に向けたわが国の取り組みについて説明を受ける

−環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会


日本経団連は11月29日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(吉川廣和部会長)を開催した。当日は伊藤哲夫・環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長を招き、循環型社会構築に向けたわが国の取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。伊藤部長の説明概要は次のとおり。

■ 循環型社会を形成するための法体系

循環型社会とは、「廃棄物等の発生抑制と適正な循環的利用・処分により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」(循環型社会形成推進基本法第2条)である。政府は、(1)発生抑制(リデュース)(2)再使用(リユース)(3)再生利用(リサイクル)(4)熱回収(5)適正処分――の優先順位により、循環型社会を目指してきた。

2008年3月に改正された第2次循環型社会形成推進基本計画では、資源生産性、循環利用率、最終処分量の3つの指標について目標を設定した。各指標は目標に向けて順調に進捗している。2012年度以降、同計画の見直しを行う予定である。

また、廃棄物の適正処理において、最も基本となる規制の法律として、廃棄物処理法が存在する。同法は今年の5月に改正され、現在、来年4月の施行に向けて、政省令の整備を行っている。

■ 使用済小型家電からのレアメタル回収及び適正処理推進事業

環境省は08年度から経済産業省と合同で、「使用済小型家電からのレアメタル回収及び適正処理推進事業」を行っている。同事業のなかで、地方自治体による使用済小型家電の回収モデル事業を行った結果、一定量を回収できれば、中間処理・金属回収を含めたリサイクルシステム全体での採算性はプラスとなった。しかし、レアメタルを回収すると利益率は低下する。レアメタル回収量を増やすためには、市場原理に委ねるのではなく、何らかの仕組み・ルールが必要である。現在、研究会で議論をしており、来春までには報告書がまとまる。これを踏まえ、使用済小型家電のリサイクル制度について検討していく。

■ PCB廃棄物の処理について

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、1972年に製造が中止されて以降、約30年間にわたり処理施設の設置ができず、紛失等による環境汚染が懸念されていた。そこで01年にPCB特別措置法を制定し、一定期間(2016年7月)内の処分を義務付けるとともに、JESCO(日本環境安全事業)を活用した拠点的広域処理施設の整備を進め、処理に取り組んできた。

PCB廃棄物のうち高圧トランス等は、JESCOが全国5カ所で化学処理を実施中である。また、安定器等はJESCOの北九州事業所において昨年度より処理が開始されている。微量PCB汚染廃電気機器については、廃棄物処理法に基づく環境大臣の無害化処理認定制度の対象に追加し、民間業者による処理を推進している。「負の遺産」を将来の世代に残さないように、官民が力を合わせて処理を推進していきたい。環境省としてできることはすべて行うので、産業界の協力をお願いしたい。

【環境本部】
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