経団連タイムス No.3068 (2012年1月1日)

経団連環境自主行動計画2011年度フォローアップ結果公表

−技術革新、省エネ設備導入などで生産活動量当たりの排出量が大きく減少


経団連は12月13日、環境自主行動計画<温暖化対策編>2011年度フォローアップ結果(2010年度実績)を取りまとめ、公表した。

経団連では、京都議定書の策定に先立ち環境自主行動計画を策定、「産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を、2008年度〜2012年度の平均で1990年度レベル以下に抑制する」という統一目標のもと、地球温暖化防止対策を進めている。フォローアップ結果の概要は次のとおり。

■ 2010年度のCO2排出量は90年度比で12.3%減少

環境自主行動計画には、産業・エネルギー転換部門から、合計34業種が参加している。この34業種からのCO2排出量は、90年度で5億584万t‐CO2で、これは基準年である同年度のわが国全体のCO2排出量の約44%、産業部門およびエネルギー転換部門全体の排出量の約83%をカバーする規模である。

フォローアップ調査の結果、10年度のCO2排出量は4億4347万t‐CO2となり、90年度比で12.3%減少(09年度比で5.3%増加)となった。

■ CO2排出量変化の要因

90年度から10年度の間にCO2排出量が12.3%減少したことについて、要因とその寄与度を分析した。まず、生産活動量の増加がCO2排出量の5.0%増加に寄与した。また、生産活動量当たりの排出量の減少(効率の改善)およびCO2排出係数の減少が、それぞれCO2排出量の15.8%、1.5%減少に寄与した。これらの結果、10年度のCO2排出量は90年度比で12.3%の減少となった。

生産活動量当たりの排出量が大きく減少しているのは、業種において、技術革新、省エネ設備や高効率設備の導入、燃料転換、排出エネルギーの回収利用、設備・機器に関する運用改善などのさまざまな取り組みが着実に積み重ねられてきたことによる。

なお、10年度は、電気事業者が京都メカニズムクレジット約5700万t‐CO2(09年度は約5200万t‐CO2、08年度は約6400万t‐CO2)および国内クレジット約1.7万t‐CO2を償却したことにより、電力使用に伴うCO2排出係数が改善した。電気事業者が両クレジットを償却しなかった場合と比較すると、34業種からのCO2排出量は、約1375万t‐CO2減少している。

■ 民生部門・運輸部門におけるCO2削減への取り組み

わが国全体のエネルギー起源CO2排出量の動きをみると、90年度比で民生(業務、家庭)部門からの排出量が大幅に増加している。

産業界の温暖化対策を、製造段階だけでなく物流部門やオフィス部門に広げ、さらに従業員を通じた国民運動の展開にもつなげていくことが必要である。そこでフォローアップ結果概要版では、企業の広範にわたる温暖化対策の経験と成果を、より多くの企業が共有し活用することによって、温暖化防止への取り組みをさらに拡大していくため、物流部門、オフィス部門での対策や従業員・顧客への啓発事例を取りまとめている。

■ 今後の方針

08年3月に改定された政府の「京都議定書目標達成計画」では、環境自主行動計画は、「産業界における対策の中心的役割を果たしている」と位置付けられている。

経団連としては、今後とも「90年度レベル以下に抑制する」という統一目標の達成に向けて努力していくとともに、京都議定書の約束期間、ポスト京都議定書の期間を問わず、地球温暖化防止のため、引き続き世界最高のエネルギー効率を目指し、また、省エネ技術の内外への普及・開発、革新的技術の開発等を通じ、主体的な取り組みを行っていく。

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詳細は経団連ホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/113/index.html)に掲載している。

【環境本部】
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