経団連タイムス No.3068 (2012年1月1日)

ババジャン副首相から日ト経済関係の展望聞く

−日本トルコ経済委員会


釡委員長(左)とババジャン副首相

経団連は12月5日、都内で、日本トルコ経済委員会(釡和明委員長)を開催し、トルコのアリ・ババジャン副首相(経済・財政担当)から、最新のトルコ経済情勢やわが国との経済関係の展望などについて聞いた。ババジャン副首相の説明は次のとおり。

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日ト経済関係は、貿易・投資ともに一層の拡大・強化が可能である。トルコでは対日FTAの検討が進んでおり、日トFTAの早期合意を実現するために、経団連の支援をお願いしたい。

現在日本企業とは建設や衛星システム等の分野で協力が進んでいる。トルコは古くから周辺地域と活発に交流してきており、容易にアクセスできる。そのため、トルコに拠点を置いた多国籍企業は、国内にとどまらず周辺国をも対象にビジネスを展開している。

トルコは2000年代はじめに金融危機を経験し、慎重なマクロ経済政策を遂行した結果、銀行部門は堅固であり、財政面も健全である。若い7400万人の国民は購買力をつけ、貧富の差の縮小と相まって、経済は力強く成長している。それに伴い、エネルギー、インフラへの需要が高まっており、企業の設備投資も急増している。また、民主主義、基本的人権、法の支配など各種改革を進めており、政治的にも安定している。トルコは成長のカギである信頼を獲得していると言える。

トルコは2023年の共和国建国100周年に向けて、経済を世界10傑入りさせるとともに、イスタンブールを世界トップ10の金融センターに発展させる目標を掲げている。これを達成するため、人的資源の開発に注力しており、教育分野への支出はトルコの国家予算の大きな部分を占めている。

トルコでは、経済成長に伴うエネルギー需要の拡大によって、石油・天然ガスの輸入が増加したことから貿易赤字に陥っている。これを解消するため、付加価値を高めようと研究開発に注力している。すでに航空宇宙産業では各国と連携し、最新鋭戦闘機の製造に関わるとともに、欧米の航空機製造企業に部品を納入するなど、ハイテク分野にも進出している。将来はIT分野も強化したい。

日ト企業は協働して、高い潜在力を引き出すことができる。周辺の広大な地域において多様なビジネスチャンスを追求すべく、トルコ政府は両国のパートナーシップの構築を全力で支援していきたい。

【国際経済本部】
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