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発言する西田副会長 |
第15回ILOアジア太平洋地域会議が12月4日から7日まで、京都で開催された。ILOでは毎年、アフリカ、アメリカ、アジア太平洋、欧州の地域ごとに会合を開催し、当該地域における活動の方向を決定しており、今年はアジア太平洋地域(アジア、オセアニア、アラブ)の順番。38カ国の政労使の代表約410名が出席し、日本からは、野田佳彦総理大臣、西田厚聰経団連副会長、古賀伸明連合会長らが出席した。概要は次のとおり。
今回の会議では、「ディーセント・ワークを伴う持続可能な未来の構築」と題し、アジア太平洋地域において、働きがいのある人間らしい仕事を実現するための政策的課題について、(1)マクロ経済政策、雇用政策、社会保護政策の調整(2)生産的な雇用、持続可能な企業、技能開発(3)労働における権利と社会対話――等の観点から幅広く意見交換を行った。
野田総理からは、グローバル化が進展するなか、アジア太平洋地域の「分厚い中間層」が原動力となり、世界経済を牽引することへの期待が表明された。また、日本では「新成長戦略」において、雇用創出を中心課題に位置付けていること、さらには、「グリーン・ジョブ」に代表されるように、社会的課題を解決する技術によって新たな雇用機会を生み出すべく取り組むことが強調された。
これに呼応するかたちで、西田副会長から、野田総理がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に向けた方針を決定し、一貫して「国を開く」姿勢を明確にしていることを歓迎しつつ、他国との公平な競争条件を確保し、事業環境を向上させることが雇用創出やディーセント・ワークを実現するための基盤となることを指摘した。
会議での議論を踏まえ、次の内容の文書が採択された。
ILOアジア太平洋地域会議にあわせて、3日、第8回アジア太平洋地域経営者団体サミットが開催された。同会合では、ILO、国際使用者連盟(IOE)ならびにアジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の共催のもと、域内の経営者団体の代表が集い、持続可能なアジアの成長の実現に向けた課題について意見交換した。西田副会長が「地域統合と協力に関する我々のビジョン」と題して基調講演を行った。サミットでは、輸出依存から内需主導型の経済に向けて再調整が必要であることを確認し、若年失業や高齢化社会への対応といった域内共通の課題に対して、今後CAPEの場で、社会保障、技能開発、生産性に見合った賃金というテーマで研究していくことについて合意した。
経団連では、今回の一連の会合の成果を踏まえ、来年6月の第101回ILO総会におけるディーセント・ワークや社会保障制度のあり方をめぐる議論に対応していく。