経団連タイムス No.3069 (2012年1月12日)

総合物流体系構築への戦略聞く

−運輸委員会


経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で運輸委員会(宮原耕治委員長)を開催し、国土交通省の宿利正史事務次官から、日本の総合物流体系の構築に向けた戦略について説明を受けるとともに意見交換を行った。宿利次官の説明の概要は次のとおり。

◇◇◇

国土交通省は、総合物流施策大綱と国土交通省成長戦略の二つを基に、国際物流の競争力を強化すべく物流政策を展開している。

まずは、世界におけるわが国港湾の地位低下に歯止めをかけるべく、「国際コンテナ戦略港湾」政策、「国際バルク戦略港湾」政策を重点的に展開していく。前者については、京浜港、阪神港を国内のハブかつ東アジアの主要港とすべく「国際コンテナ戦略港湾」に認定し、コンテナ船大型化に対応可能な港湾の整備、24時間オープン化といったハード・ソフト両面にわたる施策を実施する。後者は、資源、エネルギー、食糧等を安定的かつ低コストで輸入できるようにするため、国内の10港を「国際バルク戦略港湾」に認定し、大型船舶による輸送を可能とするインフラ整備などを行っている。さらに、日本商船隊の競争力確保・規模拡大のためトン数標準税制の拡充等を図っている。

航空分野では、オープンスカイ(航空自由化)の推進と羽田・成田両空港の強化が中心となる。オープンスカイについては、現在、12の国・地域との間で合意しているが、今後、中国とEUとの締結が課題だ。羽田は、2010年10月に、4本目の滑走路の供用が開始され、国際定期便も就航することとなったが、さらに国際線ネットワークを拡大するため国際線旅客ターミナルやエプロン(駐機場)の拡充に着手している。成田の就航先は41カ国・地域、90都市に上りすでに日本の国際線のゲートウェイとなっているが、空港容量を30万回に拡大すべく施設の拡充整備等を行っている。

これらとあわせて、中韓、ASEAN、インドなどアジア諸国における物流サービスの向上支援や日本の物流業の国際展開を図るため、関係国と政策対話等を実施するほか、今後、需要が見込まれる海外港湾物流プロジェクトについては、官民が連携してプロジェクトに参画するなど日本企業の海外展開を積極的に支援している。

<意見交換>

航空物流における国内・国際線間の手続きの簡素化など規制緩和を求める意見があり、これに対し、宿利次官から、「安全・環境面から不可欠な規制あるいは国益を守るために必要な規制を除いて、できるだけ簡素化する方向で取り組んでいく」との回答があった。

【産業政策本部】
Copyright © Keidanren