経団連タイムス No.3070 (2012年1月19日)

COP17の総括と今後の対応などで意見交換

−経産省・菅原産業技術環境局長と懇談/環境安全委員会


2013年以降の温暖化対策の国際枠組をめぐって、昨年11月28日から12月11日までの約2週間、南アフリカのダーバンで国連気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)が開催された。経団連はこれまで、温暖化防止のためにはすべての主要排出国が参加する単一で公平な枠組みが不可欠であり、京都議定書の第2約束期間が設定されても、参加すべきではないと主張してきた。
そこで、環境安全委員会(坂根正弘委員長、天坊昭彦共同委員長)は12月20日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、COP17の総括や今後の対応などについて、経済産業省の菅原郁郎産業技術環境局長から説明を聞き、意見交換を行った。
菅原局長の説明概要は次のとおり。

■ COP17での合意

COP17では、会期末の12月9日(金)になっても議論が収束せず、交渉決裂かと思われたが、会期延長後の10日(土)の夜から11日(日)の早朝にかけて交渉が進み、(1)京都議定書第2約束期間の設定とわが国の不参加(2)米中印を含むすべての国が参加する将来の枠組みに向けたプロセス(3)カンクン合意に引き続き、各国の中期目標に「留意」すること――などが合意された。

■ 日本政府の交渉姿勢

日本政府は、細野豪志環境大臣の演説などを通じて、東日本大震災を受け、新しいエネルギー戦略と今後の温暖化対策の検討を表裏一体で進めている現状を説明した。また、米中印などすべての主要排出国が参加する枠組みを構築すべきと主張するとともに、第2約束期間と2020年について削減目標を書き込まないよう尽力した。

■ 京都議定書の第2約束期間への不参加が認知

京都議定書の第2約束期間については、現行の約束期間(08〜12年)終了後、切れ目なく移行することが合意され、欧州連合(EU)、ノルウェー、スイスが参加することとなった。一方、日本、カナダ、ロシアの3カ国については、合意された最終文書上、別扱いとされ、第2約束期間に参加しないことが国際的に認知された。

■ 将来枠組みの議論

将来枠組みに関しては、(1)2015年までに交渉を終え(2)20年から発効させる――という2点が決まった。しかし、その法的性格については、「ダーバン・プラットフォーム特別作業部会」に関する最終文書において、「議定書」「法的文書」に加え、「法的効力を伴う合意成果」が並列されている。「法的効力」の定義も明確ではなく、さまざまな解釈が可能となっている。

■ COP18に向けた今後の課題

京都議定書の第2約束期間に参加しない日本として、2020年までにどのような取り組みを進めていくかが大きな課題である。「日本は20年までどう取り組むのか」という国内外の議論に対して、経団連低炭素社会実行計画など官民一体の取り組みを進めつつ、わが国が推進してきた二国間オフセットメカニズム(注)やセクター別アプローチなどに引き続き取り組んでいくことが求められる。

(注)二国間オフセット・メカニズム=二国間協議のもとで、技術移転の結果として実現した排出削減の一部をわが国の貢献分として評価する仕組み
【環境本部】
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