経団連タイムス No.3071 (2012年1月26日)

エネルギー政策に関する懇談会開催

−エネルギー政策の見直し状況聞く


経団連は13日、東京・大手町の経団連会館でエネルギー政策に関する懇談会を開催した。当日は、内閣官房国家戦略室の日下部聡・内閣審議官から、エネルギー政策の見直し状況について説明を聞くとともに意見交換を行った。日下部審議官の説明概要は次のとおり。

■ 今夏の電力需給対策

遅くとも4月ごろまでには、今夏の電力需給の見通しを示す。今夏に向けた政府の方針としては、昨夏のような電力使用制限令の発動を極力回避するため、平成23年度補正予算や制度改革を実行する。

定期検査終了後の原子力発電所の再稼働については、安全かどうかが重要であり、慎重に考えていく。

■ 発電コストの再試算

中長期のエネルギー政策を聖域なく検証するため、まず、各電源の発電コストを試算し直した。今回の試算では、政策経費などの社会的費用も新たにコストに加味した。

その結果、すべての電源の発電コストは、計算方法に課題・留意点があるものの、2030年には10円/キロワット時(kWh)前後になると試算された。

言うまでもなく、どの電源にも長所と短所がある。そのため、コスト以外の視点も持ちながら、最適な電源を選択していかなければならない。

■ エネルギー・環境戦略に関する選択肢提示に向けた基本方針

昨年末、エネルギー・環境会議は、「基本方針−エネルギー・環境戦略に関する選択肢の提示に向けて」を取りまとめた。

原子力政策については、世界最高水準の安全基準とその客観的かつ厳格な運用を確立するなど、安全対策を抜本的かつ計画的に立て直す。あわせて、核燃料サイクル政策も含む原子力政策の徹底検証を行う。

エネルギーミックスについては、安全・安心の確保を大前提としつつ、国民生活や産業活動の安定、エネルギー安全保障の確保、温暖化対策への貢献などの視点を持って検討する。

なお、CO2削減に関する中期目標などの温暖化政策については、エネルギー政策と表裏一体になるように考えていく。

■ 今後の進め方

エネルギー・環境会議は、原子力委員会、総合資源エネルギー調査会および中央環境審議会等の議論を踏まえ、今春を目途に、エネルギー・環境戦略に関する複数の選択肢を提示する。

その後、選択肢をもとに国民的な議論を進め、今夏を目途にエネルギー・環境戦略をまとめる予定である。

【環境本部】
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