経団連タイムス No.3072 (2012年2月2日)

バルニエ欧州委員と懇談

−欧州債務危機や日EU経済連携協定をめぐり意見交換


発言するバルニエ欧州委員

経団連の小林喜光ヨーロッパ地域委員会共同委員長は1月20日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のミシェル・バルニエ欧州委員(域内市場・サービス担当)と懇談した。小林共同委員長は、「債務危機への欧州の対応いかんでは、新興国の対欧輸出減や円高を通じて日本企業にも大きな影響を及ぼす。既定の措置を着実に実行に移すなどして市場の信認を回復することを期待している」と述べるとともに、「日EU経済連携協定に関して、EUが大きな関心を寄せている非関税措置については、双方に利益をもたらす建設的な解決策を見いだすべく、経団連として業界対話の促進に取り組んでいる」とし、一日も早い交渉開始に向けて理解と支援を要請した。バルニエ委員の主な発言は次のとおり。

債務危機等への対応

EUとして勇気を持って必要な措置を講じ、変革に継続的に取り組む。そうすることによって、債務を削減するとともに、経済政策面での協調を深め、経済通貨同盟を強化していきたいと考えている。G20における決定事項を含む金融市場および銀行・保険事業に関する規制を導入することに加えて、巨大な域内市場を活性化するとともに成長の芽を伸ばしていくことも課題であり、イノベーションの促進、輸出の拡大のための態勢を整えているところである。

新たな日EU関係の構築

経済成長は域外国との対話によっても促進される。なかでも日本は、成長のダイナミズムに富むアジアにおいて重要な役割を果たしている。日EUが協調して相互に市場開放を推進していく必要がある。経団連が促進している日EU間の業界対話は非常に有益であり、それによって日本の市場、特に政府調達市場の透明性の向上につながることを期待している。

昨年末に政府調達協定の改正交渉が妥結したことは第一ステップであり、日本とはさらに交渉を継続し、具体的かつ明解なルールを策定することを期待している。それが実行されることが日本との経済連携協定交渉を開始するための条件である。特に日EU間で開放度に違いがある鉄道分野の対応が重要である。

世界のGDPの約4割を占める日EUが協力すれば、第三国に対しても重要な影響を与えることができる。新たな関係を構築していきたい。

【国際経済本部】
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