経団連タイムス No.3072 (2012年2月2日)

第55回福利厚生費調査結果報告を取りまとめ

−2010年度福利厚生費は前年度比2.7%増


経団連は1月16日、第55回福利厚生費調査結果報告を取りまとめた。主な内容は次のとおり。

2010年度における企業の福利厚生費負担額は、従業員1人1カ月当たり10万76円で前年度に比べ2.7%増加した(09年度は同5.7%の減少)。

福利厚生費のうち、社会保険料等の企業負担分である「法定福利費」は7万4493円で4.2%の増加、企業が任意に行う福祉施策に要する費用である「法定外福利費」は2万5583円で、1.5%の減少となった。

福利厚生費全体としては、法定外福利費が前年度に引き続き減少したものの、費用のおよそ7割を占める法定福利費が増加したため、前年度に比べて増加する結果となった。

法定福利費の増加の主な要因としては、09年度に限り引き下げられていた雇用保険料率が10年度に戻されたことや、厚生年金保険料率の段階的な引き上げ、少子高齢化の進行の影響による、健康保険や介護保険料率の引き上げが挙げられる。

これらの要因から、法定福利費は現金給与総額の伸びを上回って上昇し、対現金給与総額の比率は過去最高の13.7%となった。法定福利費は企業の裁量により費用を変動させることができないことから、今後も総額人件費管理において、留意すべき要素であることに変わりがない。

法定外福利費は小項目の大半で費用が減少した。法定外福利費のおよそ半分の割合を占める「住宅関連」は、独身寮や社宅の運営費用である「住宅」と「持家援助」がともに減少し、前年度比1.7%減の1万2443円、医療施設や従業員の健康診断費用の補助などで構成される「医療・健康」は3.6%減少し、2882円となった。

「購買・ショッピング」や「文化・体育・レクリエーション活動への補助」はそれぞれ、9.3%増加の294円、10.3%増加の1049円となった。ただし、両項目は前年度に緊急避難的な対応から10%を超えて減少しており、従来からの施策の運用を引き続き停止している企業もあることから、前年度の減少分を回復するには至っていない。

法定外福利費が抑制傾向にあるなかで、費用が伸び続けているのが「育児関連費用」である。育児をしながら働く従業員への支援は各企業において続いており、10年度も19.8%増加した。増加は9年連続である。

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経団連福利厚生費調査は、1955年度から毎年実施し、今回で55回目。調査では、福利厚生費の各項目について企業の年間負担総額を年間延べ従業員数で除した1人1カ月当たりの平均値(加重平均)を算出している。有効回答企業数710社、有効回答率43.0%。回答企業の平均従業員数は4266人である。

【労働法制本部】
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