経団連タイムス No.3074 (2012年2月16日)

日ミャンマー関係強化の方策聞く

−アジア・大洋州地域委員会ミャンマー部会


経団連は1月30日、東京・大手町の経団連会館でアジア・大洋州地域委員会ミャンマー部会(藤野隆部会長)を開催した。昨年12月の第1回会合に続き、ミャンマーの内外情勢の情報収集を進め、経済関係の再構築の方策を探ることを目的に、明治学院大学の江橋正彦国際関係学部教授からミャンマーの政治経済情勢や日ミャンマー関係強化の方策について聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 新政権の概要

テイン・セイン政権では、軍政時代と異なり、議会、国軍および与党が大統領の改革および民主化を支えており、政治の多元化が見られる。閣僚のうち、特に国防大臣、内務大臣、国境大臣兼産業開発大臣、工業大臣が開明派と言われている。

■ 民主化の背景

民主化の急速な進展の理由は、(1)タン・シュエ議長ほか軍上層部による出口戦略の実行(2)中国の影響力拡大に対する懸念(3)経済発展の遅れと国際社会での不名誉からの脱却――の3点と考える。

■ ミャンマーの産業

ミャンマーは農業の潜在力が大きく、世界の食糧供給基地となる可能性がある。しかし農村の過剰労働力が比較的少なく、農業の機械化による生産性向上が重要である。工業分野では、労働集約型産業、一部工業品の輸入代替工業(化学肥料、医薬品、造船、自動車・バイク組立、食品加工等)、ダウェイ、ティラワ、チャオピューなどの物流基地を利用した倉庫・物流、IT産業などが有望である。

■ 日ミャンマー関係

昨年12月の玄葉外相の訪問、今年1月の枝野経産相ミッションの訪問により、日ミャンマー関係は急速に進展している。国際協力銀行のアンケートによると、向こう3年程度の範囲での有望国・地域の順位で、ミャンマーは2009年の35位から10年は20位になった。来年のアンケートでは10位以内に入るのではないか。

■ 両国政府への提言

今後の取り組みとして、ミャンマー政府においては、日越共同イニシアティブを模した日ミャンマー共同イニシアティブの実施、ミャンマー政府内でのジャパン・デスクの設置、人材育成等が重要である。日本政府には、債務問題の早期決着と円借款の早期開始、04年に両国合同で行った「ミャンマー国経済構造調整政策支援調査」の提言のレビューと実行支援、ミャンマー政府との協力による日ミャンマー共同イニシアティブの実施等が求められる。

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ミャンマー部会では今後、日ミャンマー間の経済協力強化のための方策を両国政府に求める提言の検討を進めていく。

【国際協力本部】
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