経団連タイムス No.3074 (2012年2月16日)

わが国コンテナ物流の国際競争力強化へ

−国交省港湾局と意見交換/運輸委員会物流部会


経団連は1月26日、東京・大手町の経団連会館で、運輸委員会物流部会(丸山和博部会長)を開催し、国際コンテナ戦略港湾政策をめぐり国土交通省港湾局の山縣宣彦局長はじめ港湾局幹部と意見交換を行った。

■ 国際コンテナ戦略港湾政策

上海港や釜山港をはじめとするアジア主要港がハブ機能を強化するなかで、国際的な基幹航路のわが国港湾への寄港回数は減少傾向にある。コンテナ取扱個数も世界、とりわけアジアに比して後れを取るなど、近年、相対的な地位が低下している。港湾の活力低下は国内立地の国際競争力の低下を招き、ひいては日本の国力低下につながることが懸念される。こうした状況を背景に、阪神港、京浜港を国際コンテナ戦略港湾に選定した。両港では、東アジアにおけるハブ港を目指し、コンテナターミナルの整備やフィーダー(主要港と地方港を結ぶ航路)網の強化、ゲートオープン24時間化といったハード・ソフト一体的な施策を実施している。

■ 貿易手続きの円滑化

輸出入および港湾手続き関連の業務は、船舶の出入港、通関、検疫、出入国など複数の行政機関にまたがることから、利用者は、行政機関ごとに書類を作成・提出したり、多くの重複項目を記入したりしなければならないなど、使い勝手が良くなかった。そこで、統合電子申請システム(シングルウィンドウ)の構築、申請様式の統一化・簡素化といった2つの側面から貿易手続きの簡易化・迅速化に取り組んでいる。

■ 港湾における保安対策

2001年9月の米国同時多発テロの発生を契機に、世界中で船舶と港湾施設の保安対策が強化されているが、日本でも、物流効率化を阻害することなく一層の保安対策を講じている。全国のターミナルゲートにおいて、ターミナルに立ち入る際の3点確認(本人確認・所属確認・目的確認)の100%実施を義務付けるとともに、3点確認を確実かつ円滑に実施するため、出入管理情報システムの導入を推進している。

<質疑応答>

出席者からは、「立派な港湾をつくるとともに、港に荷があることが重要である。アジア全体で取り扱う荷物のうち日本が占める量は極めて少なく、しかもそれがいくつもの港に分散しており非効率だ。国際コンテナ戦略港湾に荷を集めていかなければならないが、そのための具体的な方策はあるのか」といった質問が出された。

これに対して国土交通省からは、「内航フィーダー網を支援し強化するとともに、港湾コストを下げ使用量を増やしていきたい」との回答があった。

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運輸委員会物流部会では、今後も引き続き、港湾局との間で意見交換を行っていくこととしている。

【産業政策本部】
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