経団連タイムス No.3075 (2012年2月23日)

リオ+20に向けた日本政府の対応方針聞く

−外務省の南参事官と懇談/リオ+20タスクフォース


1992年6月にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(リオサミット)から20周年を迎える今年6月、同じくリオで国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開催される。同会議では、(1)持続可能な開発および貧困削減の文脈におけるグリーン経済(2)持続可能な開発のための制度的枠組み――の2つのテーマに関する政治的文書が取りまとめられる予定である。

当該成果文書については、年明けに国連から素案(ゼロドラフト)が公表され、1月25日から27日まで、ニューヨークで検討会合が開かれた。

経団連としては、こうした国連交渉プロセスをはじめ国内外の動向を注視するとともに、国際経済団体とも連携し、地球規模の持続可能な社会の実現に向けた産業界の取り組み・考え方を発信していく方針である。

そこで経団連は8日、環境安全委員会(坂根正弘委員長、天坊昭彦共同委員長)および経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)の下部組織として設置した「リオ+20タスクフォース」の第1回会合を東京・大手町の経団連会館で開き、国連ゼロドラフト検討会合の模様やリオ+20に向けた日本政府の対応方針などについて、外務省の南博国際協力局参事官から説明を聞き、意見交換を行った。

南参事官の説明概要は次のとおり。

■ ゼロドラフト検討会合の結果

ゼロドラフト検討会合では、リオ+20の2つのテーマに関する議論は深まらなかった。各国からは、「ゼロドラフトはビジョン、哲学に欠ける」「具体的な行動が示されていない」など厳しいコメントが相次いだ。

日本政府としては、例えば自然災害に関して「ポスト兵庫行動枠組み」が盛り込まれるなど、日本提案がところどころに反映されているため、一定の評価をしている。しかし、「先進国対途上国」という対立軸をもたらす要因となってきた「共通だが差異ある責任」(注)原則が散見され、経済成長著しい新興国の台頭といった世界の現状を反映しないかたちとなっていることは懸念される。

途上国グループは、この原則を前面に押し出し、「先進国による政府開発援助増額に向けて具体的な工程表をつくるべき」と主張し、先進国との議論が噛み合わなかった。

(注)すべての国・地域は、人類の活動によってもたらされた環境問題に共通の責任を有するが、主な原因をもたらした先進国とそうではない途上国では責任に差がある、とする考え方

■ 今後の対応方針

今後、3月から5月にかけて交渉会合が予定されているが、概ねの内容が固まるのはリオ+20本番になるであろう。ただし、どこまで議論が収斂できるかは不透明である。

日本政府としては、当該交渉に加えて、現地で総理大臣からどのようなメッセージを発信していくか腐心している。東日本大震災の教訓も踏まえ、グリーン経済への移行に関する考え方を示すとともに、「人間の安全保障」概念を強く主張していきたい。あわせて、セミナーや展示などを通じて、日本の存在感を示せるよう取り組んでいく。

【環境本部】
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