経団連タイムス No.3076 (2012年3月1日)

温暖化対策の海外事業展開に向けた今後の課題など聞く

−国際協力銀行の小野塚金融業務支援部長と懇談/環境安全委員会地球環境部会


経団連は2月15日、東京・大手町の経団連会館で、環境安全委員会地球環境部会(進藤孝生部会長)を開催した。当日は、地球温暖化対策に資する海外事業への金融支援業務の概要や今後の課題などについて、国際協力銀行(JBIC)の小野塚恭彦金融業務支援部長から説明を聞き、意見交換を行った。
小野塚部長の説明概要は次のとおり。

■ JBIC海外事業への金融支援業務

JBICの業務目的は、(1)重要資源の海外における開発および取得の促進(2)わが国産業の国際競争力の維持・向上(3)地球環境の保全を目的とする海外事業の促進(GREEN)(4)国際金融秩序の混乱への対処――に大別される。

また、主な投融資メニューは、(1)日本企業のプラント等の輸出ビジネス(輸出金融)(2)日本企業の海外で行う投資事業(投資金融)(3)日本企業の資源等の輸入ビジネス(輸入金融)(4)その他途上国向けインフラ整備等への金融支援(事業開発等金融)(5)日本企業が海外で行うプロジェクトへの出資――などである。

資源・環境分野では、とりわけ太陽光・風力等の再生可能エネルギーおよび石炭ガス化発電・CO2地下貯留等のエネルギー関連事業などの投融資を実施している。

■ 政府の施策との関連

日本政府は、2008〜12年の5年間、排出削減と経済成長を両立させ、気候の安定化に貢献しようとする途上国に対して、総額100億ドルの資金支援策(「クールアース・パートナーシップ」)を実施してきた。JBICではこのうち、民間資金と合わせ24億ドルの出資・保証を行ってきている。

民主党政権後、日本政府は、(上記と期間・金額が重複する部分があるが)2012年までの約3年間、同じく途上国への金融支援の一環として、総額150億ドルの「鳩山イニシアティブ」を推進している。こうしたなか、JBICでは、地球温暖化防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進する観点から、温室効果ガス排出量削減効果など、地球環境保全効果が高い案件を対象に40億ドル相当(JBIC+民間資金分)の出資・融資・保証(GREEN)を実施している。

■ 今後の取り組み課題

JBICでは以上の取り組みを通じて、新興国や途上国に対し、再生可能エネルギーやエネルギー効率化などの事業に着実に出融資を重ねてきたが、2013年以降のポスト「鳩山イニシアティブ」における制度をいかに設計していくべきかが今後の課題である。

限界的利益水準にあるわが国環境ビジネスの経済性向上のため、JBICの長期低利資金のレバレッジ効果を最大限に活用するとともに、出融資・保証の供与にあたっては、比較優位にある日本の技術水準にも十分な配慮がなされるよう、GREENの戦略的な活用を検討したい。

また、現在、日本政府が検討している二国間オフセット制度との連携についても、今後JBICとして整理していきたいと考えている。

【環境本部】
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