経団連タイムス No.3077 (2012年3月8日)

前原・民主党政調会長が理事会で講演

−野田総理の政権運営支える


講演する前原政調会長

経団連が2月21日に開催した理事会で、民主党の前原誠司政策調査会長が講演した。
講演の概要は次のとおり。

社会保障と税の一体改革

社会保障と税の一体改革について、民主党では昨年12月29日に9時間に及ぶ審議で党としての素案をまとめ、今年1月6日に政府・与党として「社会保障・税一体改革素案」を決定した。できれば、この素案をもとに与野党協議を行ったうえで大綱として閣議決定したかったが、野党との協議が整わず、素案をほぼそのまま「社会保障・税一体改革大綱」として閣議決定した。今後は、3月末に法案を閣議決定することになる。

消費税の引き上げの前に、徹底した行政・政治の改革とデフレ・円高への対策が必要だという認識は政府・与党で共有している。議員定数の削減は協議中だが、公務員給与の引き下げは与野党で合意した。また、医療、年金、介護、福祉等にも無駄があると考えており、しっかりと効率化するよう取り組みたい。

エネルギー問題への対応

エネルギーに関しては、4月中には稼働している最後の原発が定期検査に入り、国内すべての原発が停止することになる。政府・与党としては、周辺住民の方にも、事業活動をしている方にも原発は安全だと思ってもらえるようにしたい。

短期のエネルギー政策と中長期のエネルギー政策は別々に考えなければならない。短期的には、足元の電力を確保する必要があり、原発の安全性を高めて再稼働させる必要がある。一方、長期的には原発の寿命が40年であることを基本に比率を下げ、再生可能エネルギーの比率を高めていく。

政権交代直後の2009年9月に鳩山元総理が、2020年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減すると宣言したが、これは2030年に原発の比率を53%にまで高めることが前提だった。震災後の今日においてこの目標は難しく、現在、党内で現実的な目標について議論している。

デフレ対策と経済成長

デフレ対策として、従来のような公共事業等の財政出動による景気刺激策は取るべきではないので、日本銀行とも密に連携して金融緩和を行っている。日銀は、長期国債の買い入れ額を10兆円上積みするとともに、物価上昇率1%を目途とすると決定した。政府では、名目3%、実質2%の成長を目指すと閣議決定しており、金融緩和を継続しなければならないと感じている。

経済成長がなければ、持続的に行政サービスを提供することができない。今後も、デフレからの脱却や成長戦略の実施に向け、野田総理の経済運営を党として支えたい。

【総務本部】
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