経団連タイムス No.3077 (2012年3月8日)

オルギン・コロンビア外相と懇談

−日本はじめアジア大洋州地域との関係拡大に期待


オルギン外相(左)と小島委員長

経団連日本コロンビア経済委員会(小島順彦委員長)は2月24日、東京・大手町の経団連会館で、来日したコロンビアのマリア・アンヘラ・オルギン・クエジャル外務大臣と懇談会を開催した。

■ オルギン外相発言概要

昨年9月にサントス大統領とともに来日した際、両国首脳の間で経済連携協定(EPA)の交渉入りに向けた共同研究を開始することなどが合意された。EPAの締結によって、両国の経済関係、友好関係はより一層緊密化するものと期待している。

コロンビア国内は十数年前まで紛争状態にあり、内外の投資家に対して安全なビジネス環境を提供することができなかったが、今日コロンビアの治安は大きく改善した。これによって、石油・石炭などの天然資源の生産や、新たな農地の開発が促進され、6%の安定した経済成長の確保が可能になった。さらに、政府は正規雇用の拡大に力を注いでおり、失業率は現在、1ケタ(9.7%)にまで低下した。

こうした経済を背景に、近年コロンビアから海外への直接投資が増加しており、ラテンアメリカの国々を中心に、電力、金融、食料品などの分野で活発な投資を行っている。2011年度の投資額は120億ドルに達した。

サントス大統領は就任以来、法整備にも取り組んでいる。例えば、土地収用に際しては、法律により対象地域の住人に対する国の補償の明確化を図った。また、天然資源のロイヤリティーは、自治体ではなく国が収受し、全国へ公正に交付することを法律に定めた。現在、石油・石炭等の天然資源は増産傾向にあり、この法改正で州税収入の構造や格差是正に貢献できるものと考えている。

外交政策では、近隣のラテンアメリカ諸国との関係改善、アジア大洋州地域などこれまで関係の希薄だった国々との関係構築、そして関係強化を図る分野の拡大を重視している。この過程において、現在メキシコ、ペルー、チリとの間で、人や財・サービスの往来を活性化するため、「太平洋同盟」の早期結成に注力している。民主主義、自由貿易という基本的価値観を共有できる国には幅広く門戸を広げたいと考えており、すでにパナマやコスタリカが関心を示している。コロンビアにとって、太平洋同盟の実現は優先事項であり、この同盟を軸に、日本をはじめアジア大洋州地域との関係拡大を図りたい。

【国際協力本部】
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