経団連タイムス No.3077 (2012年3月8日)

子ども・子育て施策法制化の動きめぐり説明聞き意見交換

−少子化対策委員会


経団連の少子化対策委員会(前田新造委員長、伊藤一郎共同委員長)は、2月27日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、村木厚子・内閣府政策統括官(共生社会政策担当)、鹿沼均・厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課子ども手当管理室長から、子育て支援策に関わる包括的な制度設計や子どものための手当法案の概要を聞いた。

■ 村木政策統括官説明「子ども・子育て新システムについて」

2月13日、内閣府の基本制度ワーキングチームは、「子ども・子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」を公表した。今後、取りまとめを踏まえ、今週にも少子化社会対策会議(全閣僚で構成)で法案骨子を決定し、今通常国会への提出を予定している。新システムは、市町村を中心に保育等の計画的な整備を進め、政府の推進体制や財源を一元化するもの。また学校教育と保育を一体的に提供するべく、幼保一体化を進めるとともに、指定制度(客観的基準を満たす優良なサービスに給付を行う仕組み)を導入し、株式会社の新規参入を図り、保育の量的拡大を目指している。

費用負担については、公費負担が基本であるが、これまでどおり事業主負担を継続いただきたい。事業主拠出の水準は、現行の負担をベースに設定するが、拠出金率の上限は1.5‰(パーミル)と法定することとした。さらに、事業主拠出を充当する対象範囲は、(1)子どものための手当(2)子ども・子育て支援事業(放課後児童クラブ、延長保育事業、病児・病後児保育事業)――に法定する。また、拠出金率や拠出金の使途について、事業主と十分に意見交換を行っていきたい。

■ 鹿沼室長説明「子どものための手当について」

昨年夏の3党合意を踏まえ、2012年度以降の恒久的な対応に関わる児童手当法の改正法案を1月末に国会に提出したところ。事業主負担は従前と比べ増えることはない。なお、児童育成事業の財政不足を鑑み、12年度予算では事業主の拠出金率を1.3‰から1.5‰へと引き上げる予定である。今般の法改正で事業主が意見を申し出る機会を法定するので、今後は、予算編成に際し、なるべく前倒しで情報提供したり意見を聞いたりする機会を設けたい。

■ 意見交換

続いて行われた意見交換では、「事業主拠出は暫定的・時限的で認めるもので、将来的には全廃してほしい。待機児童の解消が最優先課題であり、現金給付の予算は縮減すべき」「拠出金率は事業主代表と個別に詰めるべき」「拠出金率の引き上げには納得できない」との意見とともに、新制度の施行時期に関わる確認があった。

これに対し、村木政策統括官からは、「今後、恒久財源を得て早期の本格実施を目指す。具体的な施行期日は、2015年4月か16年4月を念頭に、消費税の引き上げ時期や現場の施行準備期間を踏まえて最終的に判断したい」との認識が示された。

【経済政策本部】
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