経団連タイムス No.3077 (2012年3月8日)

社会保障・税一体改革大綱について香取厚労省政策統括官と意見交換

−社会保障委員会


経団連の社会保障委員会(斎藤勝利委員長、荻田伍共同委員長)は2月24日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省の香取照幸政策統括官から、2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」について説明を聞き、意見交換を行った。
香取政策統括官からは、社会保障・税一体改革の基本的考え方と、社会保障改革のポイントについて説明があった。概要は次のとおり。

■ 現在の社会保障制度

高度成長期であった1960〜70年代に現行の社会保障制度の骨格が完成し、皆保険・皆年金制度の確立によって給付が膨らんだが、それを上回る経済成長によって、国民に負担増の実感がないまま、給付拡大が続いた。しかし、90年代以降、雇用形態・家族形態の変化に対して制度が十分対応できていないと言える。

■ 一体改革大綱

今回の一体改革大綱は、社会の変化にあわせて社会保障を再構築し、高齢者だけではなく、現役世代にも目を向けた制度とすること、そして、社会保障の持続性確保と財政再建との両立を目指している。

■ 子ども・子育て

現在のさまざまな政策・財源を一本化し、待機児童対策については、指定制の導入など大幅な規制改革を行う。

■ 医療・介護

セーフティーネットの確保を行う。給付拡充だけではなく、急性期入院医療への資源の集中投入や、後発品の使用促進等、重点化・効率化をあわせて進めていく。

■ 年金

民主党の新年金制度は、基礎年金の税方式化ととらえられがちだが、所得に応じて給付を行う所得比例年金と最低保障年金の組み合わせである。2013年の法案提出を目指しているが、制度移行には時間がかかるため、現行制度の抱える問題点の解決も進めていく。

<意見交換>

その後の意見交換では、「大綱においては、給付の重点化・効率化が不十分ではないか」との質問に対し、香取統括官は、「成案では、これまでさまざまな場で示された効率化策はすべて網羅しており、かつ、給付拡充だけが先行しない仕組みをつくっている」と回答、「子育て支援は保険料ではなく税での対応が基本である」との意見に対しては、「今後、両立支援や育休等の施策を含めた全体像を明らかにしたうえで、企業の役割を議論したい」と回答した。

また、「現行の年金制度改革における低所得者対策は、保険料納付インセンティブを阻害しないよう再検討するべきではないか」との質問に対し、「給付を受けるには拠出することが大前提であり、低所得者加算は保険料負担との関係を切らないかたちで実施する方向」と回答した。

【経済政策本部】
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