月刊
経済Trend
2002年7月 創刊号

日本経済団体連合会の
力強いリーダーシップに期待する

小泉純一郎 内閣総理大臣
内閣総理大臣

小泉純一郎 こいずみ じゅんいちろう

 日本経済団体連合会の発足を心からお慶び申しあげます。
 日本経済団体連合会の母体である経済団体連合会、日本経営者団体連盟は、戦後五〇年以上、経団連が主に経済産業問題を、日経連が社会労働問題を扱い、わが国経済界において指導的役割を果たしてきました。内外の経済、労働関係など多くの分野での功績は計り知れません。
 戦後、日本は、目覚ましい経済発展を遂げ、生活水準は飛躍的に上昇し、いまや日本人の平均寿命は世界最高レベルです。資源に恵まれないこの狭い国土で、一億二七〇〇万人もの国民が、これほど短期間に、ここまで高い生活水準を実現したことは、われわれの誇りです。
 今世紀、私たちは、いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎えます。高齢化は日本の経済社会に、世界に前例のない新たな課題を投げかけています。新たに発足する日本経済団体連合会が、わが国が直面する課題の解決と将来の日本の発展のために積極的に取り組まれることを期待しています。
 わが国が持続的な経済成長を取り戻すためには、経済・財政、行政、社会のあらゆる分野で構造改革を断行することが必要です。私は、就任以来、「改革なくして成長なし」との方針の下、聖域なき改革に取り組んでまいりました。改革は動き出しています。今年は、改革を一つ一つ軌道に乗せ、さらに大きな流れをつくり出す「改革本番の年」です。経済再生の基盤を築き、民需主導の着実な経済成長を実現するため、経済活性化や税制改革に取り組み、この正念場を揺るぎない決意で改革に邁進してまいります。
 「民間にできることは民間に委ね、地方にできることは地方に委ねる」との原則にたって、道路公団の民営化や住宅金融公庫の廃止などの特殊法人改革と郵政事業への民間参入などを進めています。これらはみな、昨年までは実現不可能と思われていたものばかりです。しかし、例えば、住宅金融公庫の廃止の方針が決まるとすぐに、民間の金融機関は住宅公庫より有利な商品を開発し、提供を始めました。民間のこのような創意工夫と努力こそが、改革を実のあるものにする原動力だと思います。
 バブル経済の頃、私たち日本人は自信過剰でした。その後一〇年経ったいま、逆に自信喪失ともいえる状況に陥っています。日本の潜在力には大きなものがあります。自信過剰もいけないが、自信喪失もいけない。自信と希望をもって将来に向かって進んでいかなければなりません。
 自信と誇りに満ちた日本社会を築いていくため、日本経済団体連合会が力強いリーダーシップを発揮されることを期待いたします。日本経団連の大いなる発展を祈念いたしております。
 新団体発足にご尽力された関係者の皆様に深く敬意を表するとともに、皆様のご健勝とますますのご発展をお祈り申しあげます。


日本語のホームページへ