[ 日本経団連 ]

オフィスにおける省エネ等の地球温暖化対策の強化のお願い

2007年11月20日
(社)日本経済団体連合会
会長  御手洗 冨士夫

わが国は、京都議定書の下、90年度比マイナス6%(2008〜2012年度の平均)の温室効果ガスの削減を、国際的に義務付けられております。この義務を果たすため、政府は、京都議定書目標達成計画を策定しておりますが、2006年度の実績値では、逆に6.4%の増となっており、現在政府の審議会において、強い危機感の下、同計画の見直しが進められているところです。

日本経団連では、京都議定書の策定に先駆け、産業・エネルギー転換部門等において自主行動計画を策定し、地球温暖化の防止に率先して取組むとともに、環境税や排出量取引制度等の国際競争力に影響を与えるような規制的な政策の導入の阻止に取組んでまいりました。こうした経済界の自主的な取組みは、京都議定書目標達成計画の見直し作業においても評価されております。

他方で、90年度比の排出増に寄与している部門として、オフィス等の業務部門および家庭部門が挙げられており(90年度比36.8%増)、政府の審議会においてもこの部門での取組みが喫緊の課題とされております。

そこで、この度、11月12日の会長・副会長会議において、下記の通り、オフィスにおける省エネ等の地球温暖化対策を強化する旨の申し合わせを行い、実効ある取組みを会員企業・団体各位に重ねて強くお願いすることといたしました。

会員企業・団体各位におかれましては、趣旨をご賢察いただき、何卒ご協力のほど、お願い申し上げます。

1.オフィスにおける省エネ等の温暖化対策の強化

業務部門からの温室効果ガス排出量の抑制が重要課題となっており、会員各企業のオフィスにおけるエネルギー効率の一層の向上に向けて、以下の対策につきまして、特段のご理解とご協力を頂きますようお願い致します。

(1) 本社等のオフィスの省エネに関する数値目標の設定

  1. 本社等のオフィスのエネルギー消費に関する数値目標を設定していない企業 は、特定年を基準に数値目標を設定して頂きますようお願い致します。
    その際、現行の「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」において大規模ビルに努力義務として課されている「事業所のエネルギー消費効率(床面積等あたりの原単位)を年平均で1%以上改善する」旨を参考としてください。

  2. 既に本社等の省エネに関して、数値目標を設定している企業につきましては、支店、営業所等への対象範囲の拡大や、数値目標自体の引き上げ等、オフィス全体の温暖化対策の推進をご検討くださいますようお願い致します。

(2) P-D-C-Aサイクルを活用したオフィスのエネルギー管理体制の整備

オフィスの温暖化対策を推進する際には、数値目標等の定量的な計画に併せて、個別に実施する対策効果の可視化等、進捗状況を評価していく社内の管理体制の整備が不可欠となりますので、以下のP-D-C-Aサイクルを参考に、今一度、内部体制を点検くださいますようお願い致します。

(参考)オフィスビルのエネルギー管理体制の例
(1) Plan (計画) 数値目標の設定、改善計画プログラムの作成 等
(2) Do (改善実施) 快適さを損なわない程度の節約(設定温度、送風量・
外気導入量・照度等の見直し、ウォームビズの実施)、
省エネ性能の高い機器・製品の積極的な採用、オフィス
の所有者・テナント等との連携による省エネの推進 等
(3) Check (効果検証) エネルギー消費量の把握、増減の要因分析の実施 等
(4) Action (見直し) 数値目標等の計画の見直し 等

(3) その他

政府に対して、サマータイム制の導入を求めている日本経団連では、本年8月、事務局において、エコワーク月間(勤務時間の繰上げ、空調時間の短縮、業務の効率化等)を試験的に導入し、一定の省エネ効果を確認いたしました。会員企業におかれましても、来夏におけるエコワーク月間の試験的な導入につきましてご検討いただきますようお願い致します。

2.環境家計簿の活用等による従業員の家庭における取組みの強化

温暖化問題への取組みにおいては、国民一人ひとりがライフスタイルを見直し、自覚をもって温暖化防止につながる行動を積み重ねていくことが重要です。

環境・省エネルギーに関する情報の紹介や環境家計簿の提供・奨励など、従業員が個人・家庭レベルで環境問題への理解を深め、具体的な省エネ行動の実践につながる取り組みについても、国民運動への協力の一環として、検討頂くようお願い致します。

以上

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