景気関連インフォメーション

2000年3月分


第159回 景気動向専門部会・議事概要( 3月13日開催)

〜最近の経済動向と今後の見通し(官庁報告)〜

  1. 景気動向指数、機械受注について
    経済企画庁 妹尾・景気統計調査課長
    1. 景気動向指数(2000年1月速報分)
    2. 1月の景気動向指数(速報値)の先行指数は85.7%と2ヶ月ぶりで50%を上回った。個別系列でマイナスとなったのは速報段階ではマネーサプライのみである。一致指数は87.5%と7ヶ月連続で50%を上回った。個別系列では大口電力消費量のみマイナスとなった。遅行指数は0.0%であり、プラスとなった個別系列はなかった。
      一致指数の動きから見ると、生産指数は緩やかな上昇傾向にあり、雇用関連の指標も厳しい状況にあるものの改善の動きが見られる。一方、消費関連の個別系列2指標(百貨店販売額、商業販売指数(卸売業))が2ヶ月連続でプラスとなった。12月のプラスは、比較対象の9月が気候要因から消費が大幅に落ち込んだことによる。1月のプラスは、10〜12月期に比べてマイナス幅が縮小したことが寄与している。
      1月の百貨店販売額の改善には、冬物セールの前倒しや一部店舗の閉店セール等の特殊要因と、法人向け需要の増加が寄与した。百貨店の法人需要増には、「建装」(建物が竣工した後に設置する事務机や事務機器など設備)関連の大口受注が寄与している。2月以降もこの法人需要が継続するかどうか気になるが、先行系列の建築着工床面積(商業・鉱工業・サービス業)が数ヶ月連続でプラスとなっており、生産活動の活発化を反映した動きと言えるので、今後の推移に期待したい。商業販売額指数(卸売業)については、1月は前年比2.5%減と下げ幅が縮小してきている。これも取扱い品目の中のパソコン等の機械・機具類が増えて来ていることによっており、生産活動の活発化を反映したものと言える。したがって指標の改善は一時的なものではないと思われ、今後の動きを注視していきたい。
      遅行指数はいっこうに上向かない。実質法人企業設備投資が、DIの上でプラスに定着していくことが期待される。一方で、最終需要財在庫指数、常用雇用指数、家計消費指数の3指標が相変わらず低迷を続けているのは、需要の自律的回復が遅れていることを示している。
      生産活動の活発化を反映し、一致指数は7ヶ月連続で50%を上回っているが、10〜12月期のGDPは前期比1.4%減となった。車にたとえれば、エンジン部分の回転は良くなってきているが、トランスミッションを通じて車輪に駆動力が十分伝わらず、速度が思ったほど出ないという感じである。しかし、方向としては良い方向に向かっていると言える。なお、今月21日の改訂で、一致指数には原材料消費指数と稼働率指数が新たに入ってくる。両指標ともにプラスになる公算が強いが、仮にマイナスになったとしても一致指数は50%を上回る。

    3. 機械受注(1月)
    4. 1月の機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比0.8%増となり、12月の同16.1%増に続いて増加した。業種別に見ると、特に非製造業の足許が急に強くなった印象がある。金融・保険は弱含みであるが、通信業が明確に下げ止まった。他に足を引っ張る業種もなくなった。
      2桁増を示した翌月に機械受注が減少しなかったのは、1987年に280社を調査対象として以来、1度あっただけであり、しかもその時の伸び率はかろうじて0.1%であった。したがって、このケースを除くと、今年1月の動きは非常に例外的と言える。10〜12月の機械受注実績(船舶・電力除く民需が前期比9.9%増の大幅増)を受けて、機械受注は持ち直しの動きにあると判断したが、これが裏づけられたと言える。今のところ、1〜3月の見通しは前期比1.6%減となっているが、1月に前月比0.8%増となったため、2月、3月と連続して前月比11%減となっても、見通し水準の達成は可能であり、超過達成の可能性が大きい。
      10〜12月期の設備投資の前期比4.6%増は予想を上回っていたが、設備投資の底入れは近いと考えている。機械受注は、中小メーカは対象外であり、設備投資の40%を占める建設関係も調査対象外で、機械受注だけで判断するのは不十分といえるが、われわれの推計によると、設備投資は来年度4〜6月期頃に底入れするとみている。いずれにしても、今後は、設備投資のデータを注視していきたい。

  2. 法人企業統計季報、大蔵省景気予測調査について
    大蔵省 稲垣・調査企画課政策調整室長
    1. 法人企業統計調査(99年10〜12月)
    2. 全体を概観すると、売上高は10期ぶりに増収、経常利益は4期連続の増益となり、増収増益となった。IT関連を中心とする電気機械などの売上増と、リストラの効果による売上高原価率の低下が寄与した。増収増益は97年7〜9月期以来10期ぶりである。97年10〜12月期から98年10〜12月期にかけての5期連続の減収減益期、99年1〜3月期から7〜9月期にかけての減収増益期を経て、99年10〜12月期は増収増益と、いわば縮小均衡的な所から一歩前進したと言える。設備投資は依然として減少しているが、10〜12月期は下げ幅が縮小した。
      売上高は、全産業で2.2%増となった。うち、製造業が4.2%増、非製造業は1.3%増となった。製造業は2期連続の増収、非製造業は7〜9月期が微減だったものの、4〜6月期は増収であり、傾向としてはこのところ増収が続いているといってよいだろう。業種別では、電気機械が、パソコン、携帯電話、白物家電が好調で10.4%増となった。化学はアジア向け輸出が好調で5.1%増となった。卸・小売は伸び率は1.9%と低いが、全体に対する寄与度は大きい。卸・小売は、卸の中小業者が増収となっており、小売はスーパーは苦戦しているが安売り店を中心とした専門店が好調である。運輸・通信は、移動体通信が好調であるのに加え、生産の活発化で物流が動き出し、12.2%増となった。資本金階層別では、大企業が9期ぶりに増収となった。中堅企業は依然として減収である。中小企業は3期連続の増収となった。
      経常利益は、全産業で41.8%増となり、4期連続増益、2期連続2桁増益となった。製造業は、化学・電気機械の売上増とコスト削減等による増益が寄与し64.6%の高い伸びを示した。非製造業は、28.0%増と、4期連続の増益となった。卸・小売、運輸・通信を中心に、コスト削減や売上増が寄与した。
      売上高経常利益率は、売上が微増の中、経常利益が増加し、2.5%となった。前年比では4期連続の上昇となった。うち、製造業は2期連続、非製造業は4期連続で対前年実績を上回った。全ての資本階層でも前年比上昇となっている。
      設備投資は、全産業で0.7%減となったが、下げ幅は縮小した。製造業は、8.2%減となったが、非製造業は2.9%増と8期ぶりに増加した。業種別では、電気機械が液晶、半導体関連で増加するとともに、金融環境の好転により中小企業の投資が増えたことにより、一般機械も増加した。卸・小売では、卸の中小企業が前年の大幅減から、反動増となっており、小売では大店立地法施行前の出店前倒しが増加に寄与した。また、運輸・通信は、生産活動の活発化に伴う倉庫業の物流投資が増えた。サービスは、旅館等での増加に加え、リースが好調に推移した。資本階層別では、中小企業が8期ぶりに増加に転じ、大企業、中堅企業も下げ幅を圧縮してきている。

    3. 景気予測調査について
    4. 2000年1〜3月期の景気の現状判断は、全産業で見ると、大企業は2期連続で「上昇」超となった一方、中堅企業、中小企業は「下降」超となった。
      2000年1〜3月期の大企業全体及び製造業、非製造業と、中堅企業の非製造業は、景況判断が「上昇」超に転じており、先行きについても改善方向を示している。また、全ての企業規模・業種において、先行きは、現状判断に比べ、「上昇」超幅を拡大、ないしは、「下降」超幅を縮小させている。
      景況判断指数の推移は、景気の山、谷に比べると、経験則的に2〜3期先行すると言われている。したがって、経験則上は、今後1年内外のうちに景気は改善することが期待される。
      11年度下期の売上見込みは、製造業が2.4%増、非製造業が0.7%減となっている。非製造業は、建設、不動産、卸・小売の受注不振が効き、前回調査に比べて下方修正している。11年度通期では、上期が弱かったこともあり、全産業で0.4%減となっているが、内訳では、電気機械で強めに出ている。12年度は上下と期を追うにつれ、売上が回復に向かうが、卸・小売が比較的売上を強めに見ているのが特徴的である。
      経常損益は、11年度下期は全ての規模・業種で前回調査から下方修正となっているが、12年度にかけて増益傾向を強める形となっている。その中で、電気機械、建設は11年度下期に大幅な増益を見込んでいる。一方、12年度には、卸・小売が増益基調を強く見込んでいるのが特徴的である。
      雇用は依然厳しい状況が続いている。

  3. 鉱工業生産指数(2000年1月分)について
    通産省 池谷・統計解析課長
  4. 2000年1月の生産は、前月比0.9%増となった。鉱工業生産の概況については、12月に引き続き、「総じて見れば、生産は緩やかな上昇傾向にある」との判断を維持している。1月の伸びが、予測値を下回ったのは、全体的に予測に対する実現率が低かったことと、予測調査の対象外品目の生産が弱かったことによる。
    業種別では、電気機械が、パソコン、リチウムイオン蓄電池、モス型ICを中心に最終需要財、生産財ともに好調に推移した。中でも、パソコンは、春モデルの増産に加え、12月に生産が2000年問題の影響から落ち込んだ後の反動増もあり、大幅な増産となった。生産財については、パソコンや携帯電話向け部品が増産となった。一般機械では、食品の加工機械、立体倉庫等、設備投資関連財で動きがあった。鉄鋼は、外需中心に底固く推移した。このような状況下、在庫調整は概ね終了しつつある。電気機械では、1月は在庫増となった。特に、電気機械向け生産財は、在庫循環の観点からはすでに在庫積み増し局面にある。
    予測調査によると、生産は2月2.7%増、3月3.2%減の見通しとなっているが、四半期別で見ると、99年7〜9月期、10〜12月期に引き続き、1〜3月期も前期比増が期待できる。3四半期連続の増加となれば96年後半以来、3年ぶりとなる。2月の生産増は、特に小型車、トラックを中心とした輸送機械の増加が寄与している。また、一般機械、化学も増加する見込みである。3月は、一般機械が大きく落ち込む見込みである。2月に大幅増となった半導体製造装置などの生産が反動減となるためである。電気機械も前期比減となる見込みである。高水準で推移してきたパソコン生産も一服する見通しである。なお、予測の実現率について見ると、1月から2月への生産シフトが影響し、1月1.2%減、2月0.9%増となっている。以上のように、2、3月の動きを見ると、明るさがどんどん広がっていると言うよりは、緩やかな上昇という域を脱していない状況である。4月以降、明るさが拡大するかどうかは、今のところ断言できない。
    財別に総括すると、電気機械分野の生産財出荷が好調で、鉱工業全体の明るさを演出している。最終需要財については、投資財出荷がようやく前年並みか、若干前年を上回るようになってきたことから改善傾向にあるが、耐久・非耐久消費財出荷に関しては、これらと比較して改善が遅れている。

  5. 最近の雇用動向について
    労働省 山田・労働経済課長
  6. 全体の状況は、先月から大きく変わっていないが、季節調整ベースの指標が、若干修正された。これは、毎年1月に前年12ヶ月の数字を加えて施される季節調整指数の修正に伴うものである。今回の季調変えにより、99年の失業率は若干ならされた。たとえば99年6〜7月の失業率は4.9%だったが、季調変えにより4.8%となった。一方、今年1月の失業率は4.7%となり、前月から横ばいとなった。有効求人倍率は、0.52倍となり、前月の0.50倍から上昇し、明るさが窺える。これは新規求人の改善傾向が顕著になっていることが背景にある。1月の製造業の新規求人数は、電気機械での増加が寄与し、前年比12.8%増となった。サービス業も、介護保険制度の開始に伴う福祉関係の求人増や情報サービス業の求人増が寄与し、同19.7%増となった。
    一方、暗い指標としては、1月のサービス業の雇用者が前年比29万人増えているのに対し、製造業が同40万人減、建設業でも同36万人減となっている点が挙げられる。建設業は、第2次補正予算による公共投資の効果がまだ雇用にまで効いていない。製造業は、新規求人数と所定外労働時間が伸びているが、雇用者数は減っている。しかし、労働経済動向調査によると、製造業で雇用調整を実施している事業所の比率は着実に減少しつつあるし、より厳しい雇用調整の形態と位置づけられる希望退職の募集を実施している事業所の比率も減少してきている。このように雇用調整の動きはかなり沈静化してきているので、今後の生産活動の活発化に伴い、製造業の雇用者数も改善に向かうのではないかと見ている。
    なお、入職抑制は依然として根強く、新卒者には厳しい状況が続く見込みである。また、臨時雇用者数は増加しているが、常用雇用者数の減少幅は大きい。これは、依然として景気の先行きに対する自信の無さを表した動きと言えるので、今後の推移を注視していきたい。

  7. 最近の経済金融情勢について
    日本銀行 吉田・経済調査課シニアエコノミスト
    1. 景況
    2. 3月の金融経済月報では、民間需要を巡る環境に関して「企業収益の回復など、民間需要を巡る環境は改善を続けている」としており、2月の「企業収益の回復が続くなど、民間需要を巡る環境は、徐々に改善しつつある」から、若干景気判断を前進させた。民間需要を巡る環境と言う観点からは、特に以下の3点がポイントと考える。

      1. 企業収益の改善が続いており、企業マインドも改善して来ている。
      2. 足元、財政政策の効果が出始めて来ており、今月の公共工事請負金額は増加すると見込まれる
      3. 昨夏以降、輸出が外生需要のサポート要因となっていたが、昨年末は、2000年問題の影響で、一時的に輸出が減り、輸入が増えるという現象が起こった。しかし、1月以降は輸出が再び増加基調にある。
      以上のように、輸出と公共投資と言った外生需要からのサポートは当分の間しっかりしていると見ている。設備投資については、下げ止まったと判断した。1月の資本財の出荷増、建築着工床面積の増加も、これを裏付けている。

    3. 物価
    4. 先月まで消費者物価は横ばいで推移していると説明してきたが、3月の月報では、物価に関して表現を変更した。消費者物価は実際には、生鮮食品を除いたベースで1月は前年比0.3%減となっており、今月は、この実態に即し「若干弱含みで推移している」とした。月報では、物価を動かす要因についても触れているが、これらは以下のとおりである。

      1. 原油価格
         物価を上昇させる要因の一つである。卸売物価をはじめ消費者物価にも転嫁の動きが続いている。
      2. 需給バランスの改善
         これも物価を上昇させる要因である。最近は、供給の絞込みに加え、需要の下落幅が縮小してきており、需給がバランスに向かいつつある。業界によっては値上げも通ることがあると言う。
      3. 技術革新、品質向上
        物価を押し下げる要因である。典型的なのは、パソコンのように、1台当り価格は変わらなくとも、高性能化が進んでいる場合に該当する。消費者物価は、パソコンを調査対象に含んでいないが、日銀の卸売物価ではパソコンを調査対象に含めており、性能・品質の向上による相対的な価格低下を卸売物価に反映させている。
      4. 為替動向
        価格を押し下げるもう一つの要因である。製品輸入比率の拡大もあって、消費者物価は、過去に比べ為替レート変動の影響を受けやすくなっており、昨年夏の円高の影響が最近になって小売段階にパススルーされてきている。
      物価指数によって、上記の4要因のどれが強く出るかには差がある。例えば、卸売物価は、現在、原油価格の上昇と素材の需給バランス改善の影響を大きく受けている。足許の伸び率は、前期比で0%から若干のプラスが続き、前年比でみてもマイナスから0%に近づきつつあり、今後横ばいで推移しても、来月か再来月には前年比がプラスに転じる計算になる。
      一方、消費者物価については、原油高の影響は比較的小さい。価格低下は、サービスではなく、主として商品に見られる。さらにその内訳を見ると、99年暮れ以降、輸入品ないし輸入品と競合するような商品の価格下落が目立つ。
      卸売物価と消費者物価の変化方向に最近ずれが見られるのは、以上のような両指標の性格の違いにあると考えている。需要曲線と供給曲線を考えた場合、原油価格上昇は、供給曲線を押し上げるが、需要曲線への影響は大きくない。技術革新は供給曲線を押し下げるが、これも需要面とは直接関係がない。為替レートの変化は、一部需要面も動かすが、基本的にはコストに影響するので広い意味で供給側の要因に分類できる。以上の諸要因――産油国の協調減産、技術革新、為替レートの変動――は、いずれも、金融政策によって直接操作できる性格のものではない。金融政策は、基本的には金利の上げ下げを通じて経済の需要サイドに働きかけるものである以上、金融政策で供給サイドの諸要因に対抗していくことには無理がある。従って、金融政策の観点からみて、上記4つの要因の中でもっとも気になるのは、需給バランスの変化に伴う物価の上昇ないし下落圧力である。現在、需給バランスは小康状態にあるが、先行き民需へのバトンタッチが行われるかどうか明確でないので、需給が好転し続けるかどうかについては、今のところ見通し難い。したがって、今月の月報では、物価の下落・上昇をもたらす諸要因について明らかにしつつ、「需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力に対し引き続き留意していく必要がある」と説明した。

    5. 月報発表後に公表された指標
    6. 機械受注は、12月に大幅に増加した後、1月もさらに増加しており、強い数字との印象を持った。ただ、非製造業からの発注には、設備投資に該当しない携帯電話の端末が含まれている点には留意が必要である。法人企業統計季報の設備投資については、季節調整をかけた前期比でみているが、7〜9月期に続き、10〜12月期も2期連続の増加となっている。この点から、10〜12月のQEで設備投資がプラスに出ることはある程度予想していたが、前期比で4.6%も増加するとは思わなかった。7〜9月期のQEでは設備投資がマイナスで、法人企業統計季報と符号が合っていなかったので、2四半期平均してみればちょうど良いということかもしれない。それから、あまり注目されていないが、大蔵省景気予測調査によると、99年度の中小企業製造業の設備投資計画(土地購入費を除く)が、前回調査では10.3%減の見通しだったのが、今回調査では1.0%増とプラス成長に上方修正されている。また、12年度計画も前回調査では25.8%減だったものが2.9%増へ上方修正された。
      このように、ここ数日設備投資に関しては、心強い材料が揃ってきている。先行指標の動きからみて、設備投資の目先の動きはプラスになる可能性が高い。問題はその先の持続性と広がりであるが、この点を判断するには、なお材料不足である。今後、日本政策投資銀行および日本興業銀行から設備投資調査の結果が公表されるので、これらと日銀短観を踏まえて、その辺りを探っていくことになろう。

    7. 物価安定に対する検討
    8. 先週末、速水総裁が、記者会見で「物価の安定につき、日銀として総括的に検討を深めていく」と述べた点に関連して、若干申し上げたい。金融政策の目的が「物価の安定」であることは、新日銀法にもはっきり書いてあるとおりであるが、「それでは物価の安定とはどういう状態か」という点は難しい問題である。先ほど述べたように、物価は需要・供給両面から様々な要因が複雑に作用した結果として動くものである点を考えれば、この点はおわかりいただけると思う。「物価の安定」については、政策決定会合の場で既に何度か活発な議論が交わされているが、結論めいたものはまだない。ただ、論点はほぼ出そろったとみられるので、この辺りで、まとめの議論を行い、それを皆さんに紹介していくことで、金融政策のアカウンタビリティをさらに向上することができればと考えた、ということである。具体的には、物価指数を巡る問題、物価安定を数値で示すことの是非等を含めて物価の問題を総合的に検討することになる。マスコミ等では一部憶測に基づく報道もみられるようであるが、最初から特定の結論を念頭において議論するというスタイルは採っていないでので、誤解のないようにお願いしたい。


(文責・経済政策グループ)


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