景気関連インフォメーション

1998年2月分


第136回 景気動向専門部会・議事概要(2月3日開催)

〜最近の経済動向と今後の見通し(官庁報告)〜

  1. 「最近の経済情勢等について」
    小口・大蔵省大臣官房企画課企画官
  2. 全国財務局長会議における管内経済情勢報告の結果によると、全体として景気はこのところ足踏み状態が続いている。個人消費は弱く、設備投資は製造業を中心に緩やかに増加、公共事業は総じて見れば前年を下回り、生産活動は弱含み、雇用情勢は完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい。
    地域別に見ると、全国平均よりも強い判断を下しているのは、東海・福岡・沖縄・四国であり、厳しい判断を下しているのは、北海道・東北・中国である。東海は、主力である自動車の輸出増が効いており、工作機械もフル操業を続けている。福岡は、鉄鋼・造船等の生産が高い。北海道は、金融機関破綻による、消費マインドの押し下げ、暖冬による個人消費の低迷等が発生している。
    あえて好材料を探すと、全体として見ると設備投資が緩やかながら増加傾向にあり、液晶等ハイテク関連の能力増強投資もある。また、国内観光が好調である。北海道や沖縄で、新規路線の開設や航空運賃引き上げ等の効果が見られ、観光客数が前年を上回っている。

  3. 「鉱工業生産指数(1997年12月分)について」
    中西・通商産業省統計解析課長
  4. 平成9年12月の鉱工業生産動向は、概況としては「生産は引き続き弱含み」とした。在庫も依然高水準にあるため、「今後の動向を注視していく必要がある」とコメントを付した。
    生産は、前月比0.8%のプラスだが、前月が稼働日要因もあってマイナス5.0%になっていたことを考えると、その翌月としては、弱い数字である。
    出荷は、一部業種で輸出増があったほか、年末で内需が多少上昇したものもあって、前月比1.2%でプラスに転じた。
    在庫は、前月比0.4%で2ヶ月連続上昇となった。在庫率は、季節調整済指数が122.4であり、前月の123.9に比べると低下はしたものの、引き続き120台と高い水準にある。暖冬の影響で石油ストーブや灯油が在庫水準の引き下げにとってマイナスに寄与している。
    製造工業生産予測調査では、実現率、予測修正率とも3ヶ月連続の下方修正であり、生産の弱含みの特徴が出ている。また、1月の予測修正率が早々と2%を超えるマイナスとなっているが、これは過去あまり例がない。
    今年は、1〜3月の生産を均す傾向が出てきていること等から、1月の生産の伸びが見かけ上大きく出やすくなっているものと思う。これらの点に、足元の在庫の状況を加味してみると、1月の見込みは、プラスの4.3%となっていることをもって、直ちに生産の回復の兆しと見るのは困難であると考えている。

  5. 「最近の雇用動向について」
    村木・労働省労働経済課長
  6. 先月説明した時と基本的には変化がない。最近の特徴としては、完全失業率が3.5%程度で横ばいを続けていること、有効求人倍率がじりじりと低下傾向にあること、就業者雇用者の特に男子の伸びが低いこと、産業別では建設業・製造業が弱いこと等があげられる。建設業は11月から前年割れになってきている。
    このような状況の中、気になる動きをいくつかあげる。一つは離職の動きである。雇用保険受給資格決定件数(うち給付制限なし)を見ると、離職して失業手当をもらう人が増加傾向にあることがわかる。この数字は、離職失業者の増加の半年程度の先行指数であり、懸念される。もう一つは賃金である。先月この場で、大企業の年末賞与実績が、業績の悪化に比して高い伸びとなっていることを紹介したが、これには(1)そもそも春に決定がなされている企業が多いことに加え、(2)規模間格差が拡大しており、中小は大企業と比べて良くない可能性があることについて申し上げた。数字を見ると、どうやらそのようだ。規模間格差について見ると、特別給与は30人以上だと1.3%増だが、5人以上だと0.8%増という数字が出ている。
    年平均の統計が出たので、これに基づき近年の構造的な特徴をあげると、第一に、雇用者では女性、非農林業短時間が増加しており、女性パートの増加というのが雇用者増の主流となっている。第二に、産業で見るとサービス化が進んでいる。第三に、若い層の自発的失業が、景気と無関係に増加している。
    今後について、マスコミ等では「大失業時代」という言葉が使われるが、私見では最悪とは思っていない。山一証券の7,000人の解雇予定者の例では、23,000人の求人が来ている。もちろん年齢等によりミスマッチもあるだろうが、労働需要にはまだまだ強さがあると感じている。懸念材料は、今後特に2〜3月をどう乗り切れるかということである。ここでもう一段景気が下り坂になってしまうと、雇用への影響が懸念される。その意味では、現在は微妙な時期である。

(文責・経済政策グループ)


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