景気関連インフォメーション

1998年4月分


第138回 景気動向専門部会・議事概要(4月2日開催)

〜最近の経済動向と今後の見通し(官庁報告)〜

  1. 「景気動向指数(1998年1月分)について」
    淺見・経済企画庁景気統計調査課長
  2. 先月、経企庁から昨年10〜12月期のQEを発表したが、前期比でマイナス0.2%、寄与度で言うと、内需がマイナス0.8%、外需がプラスの0.6%であった。その後を受けての景気動向指数1月分の数字であるが、DIの変化を見ると、一致系列は11、12月とプラスマイナスゼロが続いた。1月は、大口電力使用量と百貨店販売額が好転したため、20.0%となったが、百貨店販売額は水面下の改善、大口電力使用量もやや一時的な色彩が強いと考えている。先行系列については、22.2%となり、50%を割って推移している。
    2月に関しては、IIPの速報を見ると、一致系列の中の鉱工業生産指数は、前月比では減少しているものの、3ヶ月前の11月との比較で見るとまだ高いということで、DIとしてはプラスに出る可能性が高い。とはいえ、2月の減少幅が、マイナス3.3%であり、予想よりも大きい感じがする。よって、原材料消費指数、稼働率指数などの他の生産関連指標が、11月水準を上回れるかについては、予断を許さない。その他の統計から考えても、次月の景気動向指数も引き続き厳しいものになるのではないかと考えている。

  3. 「鉱工業生産指数(1998年2月分)について」
    中西・通商産業省統計解析課長
  4. 2月の鉱工業生産は、前月比3.3%のマイナスということで、大きく報道されたが、数字自体は、特殊要因がいくつかあった1月がプラス2.9%と延びた後の反動であり、2月が特段大きく落ち込んだわけではない。昨年秋以降、アップダウンが激しく、数字が読みにくかったが、均してみるとやはり弱含みであり、これが長引いている。1月の特殊要因としては、1〜3月の生産を均すために、従来3月に増産していたものを、1月にも持って来る動きがあったこと、携帯電話等で新機種の増産があったこと、稼働日要因があったこと等があげられる。2月は、こうした要因が剥げ落ちたということだろう。生産が弱含み、かつ長期化している状況を鑑み、概況のところでは、「生産は弱含み基調で推移」とまとめた。長引いていることを現すため「基調」という言葉を追加している。
    今後について、予測調査の数字を見ると、生産は3、4月は連続してマイナス2.5%であり、在庫・在庫率の指標も、足元高い数字が続いている。在庫は、月次での上昇幅自身が大きいかったわけではないが、4ヶ月じわりと上昇している。在庫率は、一部品目でかなり跳ね上がったものがある。127という水準は、平成2年基準では一番高い。要因の一つには、輸送機械工業があり、販売が好調な一部車種において、国内販売のための在庫を積極的に積み増したり、輸出のために一時的に在庫を増やしたりする動きがあった。この分は、数字を割引いて考えてよいのではないか。生産者製品在庫指数は、113.4となり、5年半前の水準に戻った。
    予測調査では、2月の実現率が、0.3%と久しぶりにプラスになった。電気機械、輸送機械等で生産計画の変更があったようだ。3月の予測修正率は、マイナス2.4%ということで、コンピュータ、輸送機械等の寄与が大きい。4月以降も同様の傾向のようだ。これに加えて危惧しているのは、鉄鋼業が4月に生産が大きく下方に出ていることだ。化学は3月に定期修理があるために生産が落ちたものだ。
    製造工業生産予測指数の推移を示すグラフを見ると、落ち込み傾向が明白である。在庫の状況等を踏まえると、まだ回復には時間がかかるのではないだろうか。

(文責・経済政策グループ)


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