8月は生産、出荷指数ともに2ヶ月連続の低下。在庫指数は低下し、在庫率は上昇した。鉱工業生産は、引き続き低下傾向にあるとの総括判断である。在庫指数は4ヶ月連続の低下であり、前年比でも15ヶ月振りの低下となったが、出荷が落ちているため、なかなか在庫がはけない。
品目別には、エアコンや乗用車の生産の落ち込みが大きかった。エアコンは天候不順の影響と見られ、乗用車は輸出がアジア、欧米向けともに当月は不振。設備投資関連業種も不調である。公共事業の効果はまだ出てきていない様子。
業種別には、特に非鉄金属、紙パルプなどが在庫調整に手間取っている。需要がなかなか出てきていないことから、白モノ家電や建設機械などを筆頭に在庫率も上向き加減になってきていることが気がかりである。
予測調査結果によると、9月の生産は+3.0%、10月は▲1.0%の見込み。9月は多くの業種でプラスが見込まれており、予測通りになれば、7-9月期は生産の低下が一服することになる。10月は鉄鋼、機械工業でマイナスの予想。鉄鋼は輸出の減少を見込んでいる様子である。電気機械にも底堅さは見られない。輸送機械は2ヶ月連続上昇の見込みだが、10月からの軽自動車の規格変更を踏まえた新車種の増産が影響している。
年度後半にかけては、
日銀短観については、景況の悪化が全般に広がっていることが第一の特徴。売上げ・収益項目を見ると、今年度は企業規模、業種を問わず減収減益予想であり、しかも前回調査比で下方修正されている。
第二の特徴は、水準として中小企業の業況が悪いこと。主要企業の業況判断DIは、第一次オイルショック後やバブル崩壊後のボトムに比べればまだ高いが、中小企業では、非製造業の業況DIが前回調査に続き既往最低を更新、製造業でも今回の調査で既往最低を記録した。「戦後最悪の不況」を裏付ける結果である。設備投資計画を見ても、大企業では92〜93年頃に比べれば大した減少幅ではない(前年比2%減程度)が、中小では前年比17%の大幅な減少見通しである。雇用の過剰感についても、中小企業では過去最高を更新中である。
GDP統計では、設備投資が2四半期合計で10%も減少しているが、これを法人企業統計で業種・企業規模別に見てみると、中小非製造業の設備投資がこの2四半期で25%も減少している。この数字を踏まえると、日銀短観における中小企業の設備投資計画の数字はおとなしい印象である。雇用についても、中小非製造業では92〜93年頃に雇用を増やしてきたために、人件費比率がかなり高まっており、これが今の雇用抑制につながっている。
景気の先行きについては、在庫調整の進展、総合経済対策の効果、あるいは新たな対策の追加などで、これまでの勢いでの悪化は避けられると思うが、心配事は金融と世界経済。金融システムについては、金融機関の融資態度は引き続き厳しいと見込まれるし、企業の財務体力も悪化しているので、金融面からの制約が強まっていくことは否定できない。在庫の動きを見ると、通常であれば景気悪化の初期には在庫の積み上がりが見られるはずだが、卸小売業ではむしろ急激な在庫減少が起こっており、何らかの信用収縮の現れかもしれない。
世界経済については、アジアの回復の目処が立っていないなかで、米国景気の減速がどの程度で進むか。米国景気が急激に減速すると、世界経済に与える影響は軽視できないし、その場合、わが国の高水準の黒字が問題化する可能性もある。
海外の人と話をすると、
(文責・経済政策グループ)