景気関連インフォメーション

1999年12月分


第156回 景気動向専門部会・議事概要(12月14日開催)

〜最近の経済動向と今後の見通し(官庁報告)〜

  1. 「景気動向指数、機械受注統計について」
    経済企画庁 妹尾・景気統計調査課長
    1. 景気動向指数の動向
      10月の景気動向指数(速報値)の先行指数は、42.9%と8ヶ月ぶりで50%を下回った。一致指数は75%と4ヶ月連続で50%を上回った。遅行指数は33.3%と22ヶ月連続で50%を下回った。
      先行系列のうち、プラスとなったのは最終需要財在庫率指数(逆サイクル)、建築着工床面積、日経商品指数であり、輸出増を反映したものである。マイナスとなったもののうち、新規求人数は5〜6月の特殊要因で2ヶ月連続でプラスとなっていたが、10月は常用雇用の動きが鈍くマイナスとなった。新設住宅着工床面積は、住宅金融公庫融資の今年度第1次募集期間と第2次募集期間の端境期にあること、及び政策的な需要動向に弱さが出てきていることを反映し、低調に推移している。新車新規登録・届出台数もマイナスとなっている。総じて輸出関連の系列はプラス、政策需要あるいは消費関連系列はマイナスとなっており、景気の現状を良く現わしている。なお、17日に改訂される先行指数は未発表の原材料在庫率指数(製造業)、実質機械受注(船舶・電力除く)がプラスで入る可能性が強く、50%を超えると見ている。
      一致系列では、生産指数(鉱工業)はプラスとなっているが、7月が低水準であった結果である。大口電力使用量もプラスで入っている。所定外労働時間指数(製造業)、有効求人倍率がプラスとなったが、生産の動きに連動したものである。一致指数は生産関連の系列を多く選んでおり、7〜9月期の活発な生産状況を良く表している。一方、投資財出荷指数は、7〜9月はプラスとなったが、実勢は弱く10月は稼働日数の関係でマイナスとなっている。商業販売額指数(卸売業)もマイナスである。
      今後の一致指数の見通しについては、生産関連以外の指標は10月にかなり下がっており、さらに11月以降は水準の高かった8月と比べることになるので、50%近傍になるとみられる。
      遅行系列の改善も捗々しくない。一致系列が50%を上回っているのに、遅行系列が50%を切っている理由は何かと考えているところである。
      「一致指数が3ヶ月連続で50%を超えた段階では景気の局面が変化している」との指摘がある。しかしながら、これは1年くらい後に、景気の山谷を判定する際の一つのメルクマールに過ぎない。過去こうした局面は9回あったが谷と判定したのは、うち6回である。経済企画庁として、景気が本格的に回復軌道にのったと判断している事実はない。そもそも景気動向指数は、景気に鋭敏に反応する指標を選び、これを3ヶ月前の値と比較することで景気の方向性をなるべく早く示すことを目的としたものであり、各系列のウェイトは等しくしていることから、景気の水準を見ることはできない。したがって景気は良い方向にあるとは言えるが、GNP等景気の量感を表わす統計と併せて見ないと底を打ったかどうか判断はできない。
      そこで景気の現状を見ると、輸出に誘発されて一致系列は堅調に推移している。輸出は数量ベースでは前年比、前期比ともに増加しているが、通関統計の輸出を円ベースで見ると、前年比は依然としてマイナスであり前期比もマイナスが目立つ。数量ベースの輸出の伸びが、国内景況に波及する上で、円高による企業収益の伸び悩みがネックとなることが考えられる。しかも企業にとっていわゆる三つの過剰の処理が急務となっている。
      鉱工業生産のGDPに占める比率は過去30%台だったが、現在は24〜25%程度に落ちている。7〜9月期の実質成長率は▲1.0%となったが、景気動向指数が50%を超えている状況と整合しないとの指摘があるが、景気動向指数はあくまで生産段階の指標が中心であることに注意すべきである。ただ、方向性の観点から見れば、GDPも前年比では4〜6月期、7〜9月期と伸び幅が拡大しており、4〜9月をならして見れば悪い方向には向かっていないと言えるのではないか。

    2. 機械受注統計調査
      機械受注の船舶・電力除く民需は、3ヶ月連続で増加した。しかし、機械受注は2〜3ヶ月連続して前月比で増加し、その後に反動減となる傾向がある。これは景気の良い時にもあてはまるので、まだ安心はできない。少し長いレンジで見れば、今年3月から4月にかけ機械受注は14%減少し、その後じりじりと増加する形になっているが、10月の水準はなお3月の水準を下回っている。ただし、97年から98年にかけての急激な減少傾向は消えているので、底固めをうかがう状況にあると言える。10〜12月期の見通しは前期比2.8%減となっているが、この水準は4〜9月期6ヶ月間の平均水準と同じであることからも見通し通りになれば底固めと判断できる。業種別では電気機械が明確に上向き傾向にある。その他の製造業は一部を除いてほぼ横這いとなっており、製造業は底固めの段階に入ったと言える。非製造業は、通信や金融は減少、その他は横這いないしは微減の傾向にあり動きは強くない。機械受注は2〜3四半期後の設備投資の傾向を示すと考えているので、年度内は設備投資の反転はないが、10〜12月の機械受注が増加すれば、減少傾向はストップすると考えられる。

  2. 「最近の経済情勢等について」
    大蔵省 稲垣・調査企画課政策調整室長
    1. 法人企業統計調査(99年7〜9月)について
      売上高は全産業で0.4%減で、9期連続の減収となった。これは昭和20年代の調査開始以来初めてであるが、4〜6月期、7〜9月期と下げ幅は小幅となり、ほぼ横這い圏内になりつつあるとも見られる。製造業の売上は、好調な輸出に支えられ8期ぶりに増収となった。パソコン、携帯電話が好調で、白物家電、AV機器も底固いことから、電気機械の伸びが顕著である。輸送用機械は軽自動車や新型の小型車が好調で、増収となっている。非製造業は2期ぶりに0.9%の減収となった。建設業は、大幅減収となったが、住宅着工は比較的良かったものの、公共工事が地方を中心に減少傾向にあり、設備投資の不振を受け民間の非住宅建設受注も悪いことが影響した。サービス業は映画・娯楽での減収が響き減収となった。不動産業は住宅減税など政策効果により住宅が好調で増収となった。運輸・通信は、運輸が生産の回復で物流が戻りつつあること、通信は携帯電話が好調なことを背景に増収となった。特徴的なのは、中小企業が2期連続で増収となったことであるが、その原因についてはよく分からない。
      経常利益は、全事業で22.8%増で、3期連続増益となった。これは企業のリストラ努力の結果であり、減収増益という形はある意味で予想された結果である。20%を超える増益は、96年4〜6月期に34.4%増を示して以来であり、売上原価の縮小が寄与した。製造業は18.7%増と、97年7〜9月期以来8期ぶりの増益となった。輸送用機械は、前年に有価証券評価損を計上した反動もあって営業外利益の増加が著しく、売上増収とあわせ、大幅増益となった。化学は、営業費用中心にコスト削減が実り14.7%増となった。非製造業は25.4%増と3期連続の増益となり、96年4〜6月期の37.6%増以来の大幅な増益を達成した。業種別には、建設業がコスト削減で減収ながらも増益を達成した。運輸・通信は、増収の中、71.4%の大幅増益となった。
      注目されている設備投資は、全産業で9.6%減となり、7期連続で減少した。非製造業、製造業ともに減少した。下げ幅は、製造業は20.2%減と大きいが、非製造業は好調な業種もあり3.4%減に止まった。業種別では、一般機械が厳しい受注状況を背景に大幅減少、輸送用機械も、リストラに伴う投資抑制に加え、環境対策関連投資の一巡もあって、大幅に減少した。電気機械は液晶と半導体が好調で、前年比で見て若干水面上に出てきた。非製造業では卸・小売の下げ幅が大きいが、卸は若干増加しており、小売が消費減に伴い設備投資を抑えた。建設業は、関西空港関連で中堅企業に特殊要因があり、若干増加した。サービス業は、資金環境の改善に伴いリース関係の下げ幅が小さくなった。加えて旅館関係で大幅増となっている。大企業、中堅企業、中小企業ともに設備投資は減少したが、過剰3兄弟の処理もあり大企業ほど下げ幅が大きい。4〜6月期に比べて、大企業、中堅企業は下げ幅を縮小しているが、中小企業は若干下げ幅が拡大している。
      GDPの設備投資の推計には、通常、法人企業統計が使用されるが、7〜9月期のQEについては、政府経済見通しを早く取りまとめるため、早めに作成する必要があり、経済企画庁の法人企業動向調査が用いられている。最終的には、法人企業統計調査のデータ等が用いられるのだと思うが、今回の法人企業統計調査の調査結果は、QEに盛り込まれているものより若干良いようである。

    2. 景気予測調査について
      短観とは質問の仕方も違うためか、大企業の景況判断BSIが11期ぶりに上昇超に転じている。中堅企業、中小企業も含め景況判断は改善傾向にある。
      売上高については、11年度下期は若干の増収となっているが、通期では減収の見込みである。11年度下期の損益は、20.1%の大幅増益となっており、通期でも17.0%の増益となっている。上期はリストラ努力等による減収増益、下期は底固めから底打ちへの動きに伴い増収増益の見込みとなっていると思われる。
      景況判断は大企業、中堅企業、中小企業の順に良いが、従業員数判断については逆に中小企業から不足感が強くなっている。足許、全ての企業規模で引き続き雇用過剰感が強い。しかし、中小企業の非製造業で見ると、従業員数判断が不足超0.4%に転じており、これは98年6月末以来のことである。先行きも中小企業の非製造業の不足超幅は拡大しており、2000年6月末の見通しでは、中小企業全体でも不足超に転じている。

    3. 我が国財政の現状について
      第2次補正予算には経済新生対策執行のための予算が大きな比率で盛り込まれている。経済新生対策の社会資本整備は事業費ベースで6兆8千億円にのぼる。内訳は今年度に補正予算で手当てされるものが6兆2千億円程度、来年度予算に計上されるが、契約だけ今年度中に行なうものが、6千億円程度である。6兆2千億円のうち国費は3兆5千億円であり、残りは地方公共団体等の支出となる。
      経済新生対策の中小企業等金融対策の事業費7兆4千億円には、信用保証枠の10兆円追加分の今年度分としての5兆円が入っており、補正予算には7,733億円を計上している。新生対策の住宅金融対策である貸付枠2兆円追加(年度当初の55万戸11兆円を、65万戸13兆円に拡大)に関連し、2,001億円を補正予算に計上した。雇用対策は、雇用保険特別会計でもって執行される部分を含めると約3,000億円だが、一般会計だけでは、1,917億円が計上されている。金融システム安定化対策は、7兆円の交付国債のうち、当初予算で償還の手当てができていなかった分が約2兆5千億円あったが、このうち、約1兆6千億円をNTT株の売却で手当てできたので、残り9,279億円について改めて補正予算で手当てした。報道では、この7兆円自体が十分かとの疑問も呈されているが、これについては来年度予算編成の課題として検討を進めることとなろう。介護対策は、高齢者の保険料の半年間の徴収猶予と1年半の半額化に伴う経費等が計上されている。経済新生対策関連以外は、毎年でてくるような項目が中心である。地方交付税は税収から自動的に計算されるものなので、税収の減少に伴う地方交付税の減額が、歳出に計上されている。ただし、年度途中で地方交付税を減額すると、地方の財政が逼迫するし、経済新生対策の社会資本整備もままならないので、地方交付税特別会計の方で、借入金を立て、地方公共団体に交付される地方交付税交付金自体は減らさないようにしている。
      歳入面では、税収の減額分1兆4,410億円のうち、約7,000億円は98年度決算が、補正後予算に対して未達であったことの影響である。法人税の還付金については、企業の98年度決算分が国の予算では99年度に出てくるので、この分が約4,000億円ある。他には、源泉徴収税がボーナス不振、低金利で減少しており、これらが合計で4,000億円程ある。税外収入790億円は、公共事業の地方の負担金が歳入に上がってくるものなどが含まれる。前年度剰余金受入5,849億円は、98年度の剰余金のうち99年度第1次補正予算で雇用対策に使った残りの額である。以上から、差額として必要な部分、7兆5,660億円を公債発行で補う。公債発行額38兆6千億円は史上最高である。公債依存度は98年度決算で40.3%、99年度は今回補正予算後で43.4%となっており、支出の約4割を借金で補っているという形になっている。
      公債依存度は、1979年度に実績は34.7%だったが、当初では39.6%とほぼ4割に達し、危機感がつのったことから1980年度は財政再建元年とされ、その後、財政再建へ向けた努力が続けられてきた。しかし、ここに来て経済の現状からやむを得ず、公債依存度は高まりつつある。自動的に決まる地方交付税を除いた部分(いわば国が自由に使える税収)を公債発行額と比べると、99年度に始めて公債発行額が税収を上回った。1975年以降に増え始めた公債発行は1985年以降抑えられ、累増ペースはやや緩まっていたが、ここに来て現下の経済情勢から、やむを得ずスカイロケットのように公債発行が急増している。いつまでもこれは続けられないであろう。
      本年度末の公債残高は335兆円にのぼる見通しであり、これは一般会計の税収の7年分に相当する。また、全世界の開発途上国の累積債務の総額213兆円を大幅に上回る。さらに、家計に落してみると4人家族の1世帯あたり約1,057万円の負担に相当し、これは勤労者1世帯あたりの年間可処分所得を上回る金額である。一般会計の歳出の中で、国債費の占める比率も拡大している。したがってある程度の裁量をもって自由に使える一般歳出の比率は減少している。しかも一般歳出の中で半ば義務的に増える年金・医療などの社会補償関係費は年間数千億円のオーダーで増える見込みである。なお、利払い費負担については、この15年間実額ベースでほぼ変化はない。1985〜1999年に至る間、利払い比率も下がっている。これは公債残高が1985年の134.4兆円から1999年の335兆円に、2倍以上に増加したにもかかわらず、低金利が続いていることによる。国債発行は10年債を中心とした構成になっているので、金利が下がった恩恵を受け続けてきた。しかし、ここに来て残高が急増し、しかも金利もこれ以上下がることはありえない。逆に民需が立直れば、金利も通常領域に戻るのは当然である。7兆5千億円という国債が年度途中にも関わらず消化されることは有難いが、民需が弱いためにそれが可能になっていることを考えると非常に由々しき事態と言える。普通の状態ではとてもこのような財政運営は出来ないが、目先はこれを続けざるを得ない。しかしながら、こんな財政運営は来年度予算で最後としたいという希望を宮沢大臣も述べられている。政府のシナリオでは来年度後半から景気は回復を始め、2001年度には本格的な回復軌道に乗る見込みである。財政も新たな経済情勢に応じた姿に変えざるをえないであろう。

  3. 最近の雇用動向について
    労働省 山田・労働経済課長
  4. 完全失業率は7月4.9%、8月4.7%、9月4.6%に続き、10月も4.6%となりかなり落ち着いた動きをしている。2ヶ月下がって、1ヶ月横這いというパターンは過去には1989年4月から7月にかけて、2.4%から2.2%へ推移した時にある。今回の動きは、上記のバブル期の例と同じようなしっかりした動きとなっている。従来、単月の動きだけで判断はできないと言ってきたが、ここまで来ると少なくとも当面は底固い動きと考える。
    有効求人倍率は、10月0.48倍と前月から0.01ポイント上昇した。新規求人は、10月実績は職業安定所の稼動日数の関係もあり前月比1.8%減と低目にでているが、基調としては増加を続けていると見ている。新規求人の中身は、製造業が9、10月とかなり増加している。製造業の所定外労働時間も前年比で5.7%増となっており、生産の動きを反映した底固い動きとなってきている。
    その他の業種を見ると、建設業の雇用者数は前年と比べて増加に転じているが、新規求人はこのところ減少が目立つ。公共投資の陰りの反映と見られる。サービス業は、雇用が昨年好調だったが、最近になって前年差で減少が目立ってきている一方、新規求人数は前年比増加幅が拡大してきている。第3次産業活動指数が今年になって回復してきており、これが新規求人にも反映してきており、今後雇用増にもつながってくることを期待している。
    今後の懸念材料は、リストラの動きである。企業ヒアリングによると、人員削減の動きは少ないが、入職抑制は強い。来春の高卒内定率が55%と新卒の就職は厳しい。また、来春の定年退職者は今春より増えると思われる。厳しい入職抑制がある中で、定年後の再参入の問題も失業問題として跳ね返ってくる怖れがあると見ている。雇用は当面底固い動きを見せているが、来春が一つの正念場である。

  5. 最近の経済金融動向について
    日本銀行 吉田・シニアエコノミスト
    1. 景況
      「わが国の景気は下げ止まっており、足許、輸出や生産面には持ち直しの動きがみられる」という景気に関する10月の金融経済月報の判断を、11月は「わが国の景気は、足許、輸出や生産を中心に下げ止まりから持ち直しに転じつつある」と前進させた。ただし、両月とも、「民間需要の自律的回復のはっきりとした動きは、依然みられていない」との判断は変わらない。民需の立直りがうかがわれない中、公共投資、住宅、輸出の順に支えられ生産が持ち直し、雇用面でも下げ止まりを窺わせる指標がみられようになってきたというのが、このところの景気の姿である。

    2. 12月短観
      99年度下期の想定為替レートは、前回調査の1ドル=113.58円に比べて、107.93円と円高となっており、企業が既に為替予約していた分も考慮すると、かなり現実に近い水準になっていると思う。
      足許の業況判断は、製造業、非製造業の別、企業規模の違いを問わず、おしなべて改善し、4期連続の改善となった。先行きも改善を見込んでいる。中でも、素材業種の改善幅が各企業規模において大きい。加工業種の改善幅は素材業種と比べると小さいが、円高で業況感が悪化することはなかったようだ。
      製造業の製品需給判断、在庫判断はともに改善した。特に素材業種において海外での製品需給判断が改善していることが目立つ。素材業種の需給判断の改善は、業況判断の改善とも平仄が合っている。
      今年度の売上・収益計画は、円高を織り込んだ今回調査でも大きく変わってはいない。売上計画は、製造業大企業が0.2%の微増収、非製造業大企業や中小企業は減収となっている。前回調査との対比では、大企業製造業の年度を通じた輸出は0.8%ポイント上方修正となったが、これは上期の実績が上方修正になったことによる。また、中小企業の非製造業の売上計画は前回調査から上方修正となった。一方、経常利益は大企業の製造業・非製造業、中堅企業、中小企業とも3年ぶりの増益見通しを維持している。前回調査との対比では、加工業種を中心に大企業製造業が下方修正された。大企業非製造業は上方修正となったが、主として上期増益分による。
      今年度の設備投資計画は、大企業では下方修正となり、前年度比10.8%の減少を見込んでいる。中小企業は上方修正となったが、中小企業は、年度の途中で必ず上方修正する傾向がある。過去の修正率の平均値は7%であり、これと比べると今回の5.2%の修正は小さい。一方、中小企業非製造業は9.0%の上方修正だが、過去の平均5〜6%と比べると高い。
      設備判断は小幅ながら改善している。雇用判断は大企業、中堅企業、中小企業とも小幅ながら改善している。新卒採用計画では、2000年春の採用計画が全規模合計で前年実績比20.6%減、大企業では同29.7%減となっており、新卒者の来春の就職戦線の厳しさが現れている。企業金融面では、資金繰り判断、金融機関の貸出態度判断とも小幅ながら緩い方向へ変化しつつある。
      日本銀行では短観だけで景気を云々しないことにしているので、判断めいたことは言わないが、先月から今月にかけては定例の月次指標に加え、法人企業統計、大蔵省景気予測調査などの調査結果が公表されている。17日の政策委員会・金融政策決定会合では、短観だけでなくこれらの指標を総合的に見て景気の議論が行われることになろう。その結果は、21日に発表される金融経済月報で発表される予定である。

(文責・経済政策グループ)


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