企業整備共助資金整理に関する要望

昭和22年4月23日建議発表
経済団体連合会

企業整備に伴い転廃業者に対する所謂実績補償共助金交付の為、同業者団体などに於て国民更正金庫から借受けた共助資金の整理に関しては、すでに国策が決定して居るので其の整理の必要性については今更申述ぶる事もないが其の整理の方法については特に意見を申述べて当局の特別の御考慮を要望する次第である。

先ず此の整理について特に注意を要することは、

一、此の共助金は政府の指示に基いて実行されたものであって、残存企業者が転廃業者の実績を継承し、残存業者のみが生産を維持し得る統制経済を前提としているので、終戦後企業許可制が廃止せられ、何人も自由に企業を営むことの出来る様になった今日に於ては、此の共助金の存在は根底から解消して来た訳であり、共助資金の返還義務を存続せしむる事は不合理である。

二、共助主体である同業者団体等の大部分は総動員法の廃止伴う重要産業団体令及統制会社令の失効、商工組合法の廃止、連合国最高司令部の解散命令、取扱物資に関する配給統制の廃止等の為め名実ともに解散して、共助資金の返還を為さしむることが事実上不可能であるか、又は引続き存続しているものでも金融緊急措置令、会社経理応急措置法、企業再建整備法及戦時補償特別措置法等の施行または取扱物資の需給状況其の他の事情に依って償還は困難と認められる。

右の理由から見て本整理の方法は借受主体の経理内容を審査の上左記原則により減免の措置を講ずることが最も妥当と考える、

(1) 償還見込の立ちにくいものはこの際全額を免除すること。

(2) 一部分につき償還能力を有するものについては、其の限度内で償還せしめて其の残額を免除すること。

(3) 貸付條件の緩和に依り償還が可能であり且つ容易であるものに対しては此の際條件の変更を認むること。

(4) 償還を為さしむる場合左の点に注意する。

イ、資本金、出資金は償還財源としないこと(特別経理会社となってみるものについても同様のこと。)

ロ、借入主体の理事者等のなした連帯保証は追求しないこと。

註、右理事者等の債務は、単に善良な管理者と言う意味名義上の責任者となったのであって、其の連帯保証を追求しないことは契約当初からの約束であった。

ハ、債権は民法又は商法に依る一般債権に後れて行使することが出来ることとし破産財団に対しては債権を抛棄すること。

以上
(備考) 本要望は商工協同組合中央会と協力して得たる成案である。