時局に関する要望

− 第二回定時総会決議 −

昭和23年3月16日
経済団体連合会

敗戦と二ヵ年半の諸変革とを経て、いまや全く一変せる客観的條件のもとに、自立日本経済建設への新段階を迎えんとするに至った。しかし、世界の形勢はなお紛乱をつづけ、国際関係はきわめて複雑かつ微妙である。 この間に処して、日本が真に自立するためには、全国民のかたい結合と確乎たる信念とによって、外国の援助を受け国際経済態勢への切り替えをなしとげる以外にみちはない。いまや日本国民は、民主主義の真髄に徹底し、責任を自覚して、各人が自発的、自主的に、救国協同の一大決意をかため、もって経済危機の克服と新生日本の基礎確立とに死力を盡さなければならないときである。われら経済人また相提携し、奮起精進することを誓おう。

たまたま、このときに当り、前内閣辞職後約一カ月の日子を経て、芦田新内開の成立を見た。われわれは、新内閣の樹てる適正な施策に対しては、もとより全力を挙げて協力するであろうが、また率直な意見をここに披礎して施政の参考に供したい。

一、新内閣は新奇の政策を表面に掲げる前に、まづもって既定重要施策の完遂に遺憾なきを期せられたい。

一、新内閣は、まず行わんとする各種施策の根本を、綜合的に検討して達観的に定め、これにもとづいて事務処理能力に応ずる具体策をたて、いったん定めた施策は、強力にこれを実行せられたい。

一、新内閣は、産業経済に不安を与えるような、具体的ならざる観念論的政策の発表は、これを慎まれたい。

一、政党各位は、党勢本位に偏して政局を不必要に動揺せしめたり、政治上の空白を生じたりすることを極力避け、真に民主主義国家の代表となり、模範となって、新日本の建設に努力せられたい。

以上