COP3本会議における辻経団連副会長(日産自動車会長)のステートメント

1997年12月9日
於 国立京都国際会館


議長、各国代表団ならびにご参会の皆様、経団連、国際商業会議所(ICC)、世界環境経済人協議会(WBCSD)を代表し、地球温暖化問題に対する産業界の取り組みをご紹介できますことを光栄に存じます。

開催地日本の産業界を代表する経団連は1946年に設立された組織でありますが、近年環境問題への取り組みを活動の重要な柱の一つとしております。1991年には経団連地球環境憲章を制定したほか、2年前から企画して、本年6月には37の産業による環境自主行動計画を発表したところでございます。

さて、地球温暖化問題に対する有効な方策の一つとして、私どもは産業界の自主的な取り組みを世界各国に広めることが重要と考えており、ICCとWBCSDに呼びかけ、先週この京都において、4大陸より10カ国の産業界の参加を得て、「世界経済人の地球温暖化対策フォーラム」を開催いたしました。

フォーラムの成果といたしまして、私のスピーチ・テキストに添付されております共同宣言を採択いたしましたが、そのポイントをご説明いたします。

第一に、産業部門は技術の開発、商品化と普及などを通じて、国際的に決定される温暖化対策の担い手として必要不可欠であること、第二に、企業や産業は、地域的、経済的、社会的状況に相応しい行動をとるなかで、温暖化問題についてもたとえば省エネルギー技術の開発、廃熱の活用、再生エネルギーの実用化、原子力の安全な活用なども含め積極的かつ責任ある取り組みを行っていくということ、第三に、自主行動の形態は、画一的なものではなく、企業レベル、産業レベル、全産業レベルの計画、あるいは、国家計画の一部を成す計画など様々であるということ、第四に、産業界がその技術や知識を最大限に生かせるような枠組みを政府が整えれば、自主行動は最大の効果を上げること、しかしながら、政府の対策は自主的で柔軟な産業界の取り組みを妨害したり、貿易パターンや産業間の競争を歪めることがあってはならない、という4点であります。

以上が共同宣言の骨子ですが、今回の三団体共催のフォーラムは産業界による自主的取り組みの持つ重要性を明確にしたという点で有意義であったと思います。今後もICC、WBCSD、その他各国の経済団体と連携してこうした取り組みを推進してまいる所存でございます。

自主行動は決して放任主義ではなく、具体的な対策と改善の責務を伴うものであります。さらに透明性、定期的な報告や審査を伴う場合もあります。したがって自主行動が、京都会議において検討されている目標を達成するための効果的な対策オプションとして明確に位置付けられるように強くお願い申し上げます。

世界が注目するこのCOP3において、皆様のご尽力により現実的で衡平な削減目標がまとまり、温暖化問題の解決に向けた長い取り組みの着実な第一歩を踏み出すことを祈念して、私の発言を終わります。
ありがとうございました。


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